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  • from: クマさんさん

    2012年03月20日 07時39分00秒

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    恩送りを読んで

    目が覚めたら、町の屋根が真っ白だった。
    まだまだ雪は降りますか。
    春を待つ心でいながらも、このなごり雪を楽しむ心も私にはあった。
    今年手のひらに受ける雪は、これが最後かもしれないからだ。
    最期の雪。最期の冬。
    そういう人は世の中にたくさんいるのだろうと、ふと思った。

    先日、新潟日報に「河北新報」のコラム「河北春秋」が載っていた。
    作家井上ひさしさんの「恩送り」の話だった。
    『受けた施しや恩を、直接その相手に返すのではなく、
    自分ができるようになったときに地域や周りの誰かに返す』ことだそうだ。

    井上さんは、激務の合間をぬって一関市の市民400名以上のために、
    作文の指導に当たったそうだ。
    なぜ、井上さんがこの市民のためにこの作文教室を開催することを了承したのか。
    井上さんは、その講義の途中である秘話を明かした。

    井上さんが、この市で中学時代を過ごした時の話だ。
    彼はある書店でどうしても欲しかった辞書を見つけて万引きしようとしたそうだ。
    店主はそれを見つけ、井上さんは警察送りを覚悟した。
    しかし、店主は彼を店の裏に連れていき、夕方までまきを割らせた。
    『そして、「職人に頼む代金に比べたら辞書代は半分だ」と言い、
    辞書と半額分の賃金を手渡した。』
    『人気作家による無報酬の作文教室は、その「恩送り」だったのではないか。』 河北新報 河北春秋より

    私は、晩酌をしながらこの記事を読み、不覚にも熱いものがこみあげて、
    黙って頭を垂れて嗚咽していた。
    昔、こんな店主のような温かな人は確かに生きていた。
    井上さんにとったら、その店主はきっと仏様のように感じたことだろう。
    「ああ無情」にもそんな物語があった。
    ジャンバルジャンは、その神父の赦しと愛に出会い心を入れ替えた。
    きっと井上さんにとって、この店主は彼の人生を変えた人だったのだろうと思う。

    私も、ここまで生きて来た間に、どれだけの施しと恩とを受けて来たことだろう。
    私を可愛がってくれた人。私のことを慰めてくれた人。
    私を遠くからじっと見守ってくれた人。
    数知れないその恩人たちに、私は直接何も返すことはできないのである。
    だから、私は、その人たちのこころを胸に、私が私らしく生きることを選ぶことにした。
    それは、デクノボウの道かもしれなかった。
    でも、誰かのために、何かのために、少しでもお役に立つなら、とも思っている。

    井上さんは、そう思って一関市で市民のための作文教室を開いた。

    雪は降り続けば、いつしか町は真っ白な町になる。
    今朝はこの雪が仏様からの慈悲の雪のように感じられた。

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