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  • from: クマさんさん

    2012年03月22日 05時52分06秒

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    東京行き

    母は、昨日病院のかけもちだったようだ。
    K病院に行き、先生の診察を受けた。
    いつも笑顔の先生に癒されるようだ。
    「肝臓の数値が少し悪いから、
    一カ月を二週間おきにしてくれると先生が言っていたよ。」
    母は、その変化に何もこだわらなかった。

    先生には心配だったから、私から二週間にすることをお願いした。
    本人には気づかれぬようにともお願いした。
    先生は、人の心を和ませる力をもっている人だった。
    その人柄に惚れて、母は命を任せた人である。
    名医とは、患者を安心させ、上手に信じさせる力ももっていた。

    今、東京の叔母のお見舞いのために、東京行きを考えている。
    しかし、父が「何で俺が行かねばなんねんだ。」
    「途中、俺が倒れたらどうするんだ。」と、頑として拒否をしていた。
    確かに歩くことすらしなくなった父は、東京への旅は難儀だと思う。
    「倒れたら、俺がおんぶするてば。」と言っても、聴く耳をもたない。
    だから、一時この東京行きは、父が行かないならと、母もやめることにした。

    しかし、先生が母に行ったそうだ。
    「東京。行ってきなさい。何でも思ったことしても大丈夫ですよ。」と。
    私が帰って来たら、母がすぐにそのことを笑顔で私に教えてくれた。
    「兄ちゃんとNちゃんと、三人で東京に行こう。」
    私は、そうすることにした。
    幸いこの日曜日には予定がなかったので、切符を手に入れることにした。

    あの父を置いて行くことは忍びないが、
    母のいない一日から、日ごろの母のありがたさを感じてくれたらとも思っている。
    「思ったことはすぐにやろう。」
    それは、私にも言えることかもしれなかった。

    昨日の夜遅く、酔っ払ってフォークギターを弾いていた。
    「トンボよーー、」長淵剛だった。
    思ったことはすぐにやった。

    この東京行きは、母との思い出の旅になりそうだ。

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