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  • from: クマさんさん

    2012年06月16日 15時49分46秒

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    16(土) 一歩一歩

    今日、朝から小雨が降っていた。
    肌寒ささえ感ずる日だった。
    東京から従兄弟が母のお見舞いに来ると言うので、
    11時に病室で待ち合わせをすることにした。
    その従兄弟の長男Yちゃん(小2)を母はとても可愛がっていた。
    山ノ下祭りには必ずやって来て、母の手料理を食べ、祭りに参加した。
    母は、まだ意識があった頃、よく名前を呼んでいた。

    そのYちゃんが来てくれたのに、母は何も分からないのだ。
    昨日はあんなに呼び掛けに反応があったのに、
    今日は全く反応しなくなった。
    朝、吐いたために食道が詰まらないように鼻から管が入っていた。
    手足がむくんで来たと、叔母が言っていた。
    確かに少し足が大きくなったように感じた。
    母の耳元で呼びかけても、ぴくりともしなかった。
    ああ、母は今何を想い、どこに居るのだろうか・

    個室に母を移してもらうことにした。
    それは、個室ならば父も来てくれるのではないかと思ったからだ。
    未だに父は頑固に母の病室を訪れることを拒否していた。
    私は静かな口調で説得するのだが、
    最後には私を睨み、怒鳴ってしまうのだ。
    父は鬱病のようにまったく生きる意欲を示さなくなった。
    ベッドに座り、やっぱりじっと頭を垂れて、首を振る。
    「終わりら。」「もう駄目ら。」そんな言葉しか口から出なくなった。

    そんな父に、母の最期が近いことは、私は言えなかった。
    しかし、言わなければ父は、母の所へは行かないだろうとも思っている。
    その現実にどれだけ精神的に耐えられるものかは、保証はなかった。
    しかし、叔母たちとも相談したが、
    このまま看取ることもできなかったら、
    父はどうなってしまうか、それは予想することすら怖かった。

    母の最期の闘いが静かに続いている。
    呼吸が少しずつ乱れるようになっていた。
    母は、体力があり丈夫なので、今はその力で命を維持していた。
    延命治療はしない。
    覚悟は既に出来ていた。
    ただし、その時が来たらどうなのか、私には想像がつかないのだ。
    疲労困憊ではない。
    長丁場の戦いには、それなりのいい加減さが必要だ。
    家族三人の同時入院である。
    私が独りで立っていなければ、我が家族は崩壊状況となるだろう。
    家には、高2の次男が待っている。

    私は、泣くことを忘れているのだろうか。
    本当は、心の底から号泣したいのに、今はそんなことすら忘れているのだ。
    せめて、2か月前の我が家に戻りたいものだ。
    それは、夢と知りながら、当たり前の日常がいかに貴重な日々であるのか、
    それは、その当たり前を喪失した今、そのありがたい意味がよく分かる。
    いつもなら、今頃は母が市場から帰って来て、台所に立っている時間だ。
    鍋の音や、まな板の音、母が父を呼ぶ声、叔母が訪れたときの声。
    父は、炬燵に寝そべりテレビを見るともなく見ている。
    「今日は、刺身あるよ」と、笑顔の母。
    そんな何気ない会話の一つ一つが今ではとても懐かしい。

    悔いがないと言ったら、嘘になる。
    でも、悔いをもたないことに私はしている。
    ベストは尽くさない、ただし、ベターは尽くす。
    頑張りはしない、ただし、いい加減にたんたんとこなす。
    私は、二つの病院を回り、三人を見舞う。
    朝は4時に起きて朝食の準備をして、お地蔵様にお参りするためにジョグに向かう。
    高2の息子に朝食を食べさせ、送りだし、後片付けをして、洗濯機を回す。

    一日があっという間に終わり、自分がどこに居るのか確認する必要がある。
    困って立ち止っている暇はなく、やらねばならないことが向こうからやって来る。
    確かに泣いている暇もないのだった。

    これから次男を連れて病院へ行く。
    父の説得も行う。
    母は、個室に入っているはずだ。
    正直、疲れた。
    でも、母は静かに息を繰り返しながら、生きようとして努力しているのだ。
    最期まで、偉大な母だとつくづく感じる。

    本日200万人を達成しました。日頃のご支援と励ましとに心から感謝しています。

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