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  • from: クマさんさん

    2012年06月19日 10時14分37秒

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    10日(日)父の決意

    10日(日) その朝、父の親戚二件に現状を知らせる電話をした。
    母が末期の癌で、既に意識も薄らぎ話せなく、動けなくなっていること。
    父が脳梗塞から鬱状態で同じ病院に入院していること。
    妻がS大病院で、リュウマチのために手の手術をして、退院の目途すら立たないこと。
    我が家では、私が独りで家事を行い、次男と二人で生活していること。

    こんなこともあるのかという悲惨な状況に、
    叔母や従兄弟たちが驚き、兎に角とばかりに見舞いに駆けつけてくれた。
    総勢六名だった。個室でよかったとほっとした。

    母の変わり果てた姿を見て、ショックを受けていた。
    しっかりとした母だったから、
    叔母たちは家庭でのトラブルについてはいつも父と母とに相談をした。
    毎年、二夫婦で簡保の旅行で全国のあちらこちらにも出かけた仲だった。
    母は、いつも先頭に立ってみんなの世話をしたものだった。
    その母が、やせ細った体でベットに横たわっていた。

    「おばあちゃん。Kちゃんたちが来てくれたよ。」
    耳元で大きな声で呼びかける。
    きっと聴こえているはずである。
    叔母は腰が悪くて、椅子に座ったままだった。
    じっと母の皺だらけの顔を、じっと悲しそうに見つめていた。
    みんながそうだった。
    きっと、元気だった頃の母の様子を想い浮かべているのだと思った。

    母は、人には本当によくしてきたから、
    想い出された母の姿には、一人一人感謝の言葉しかないとも感じた。
    その母への想いの深さが、とてもとてもありがたかった。

    人は、生きている間、どう生きてきたかなのだ。

    父が未だに母には会おうとはしなかった。
    とにかく頑固に、意固地に、頑なに拒否し続けていた。
    子としては、このまま会わせないで万が一のことがあったら、
    私も父も死にきれないと感ずるので、根気強く説得は続けた。
    しかし、最後には怒鳴り出し、私をすごい目で睨むのだった。
    私は興奮する父を諦めて、病室をいつも去っていた。

    私には、父の行動が理解できないのだ。
    最愛の妻がそうして臨終を迎えるかもしれないというのに、
    (実は、父の精神状態から本当のことは話してはいない)
    どうして母の病室へ行くことを拒むのだろうかと。

    そこで、親戚一同に父を見舞ってもらい、説得することをお願いした。
    「叔父さん、叔母さんが叔父さんの来るのを待っているよ。」
    父は、うなだれたまま聴いていたが、
    やっぱり突然怒り出し、怒鳴り出した。
    「駄目か・・・・。」
    私たちは、がっかりとしながら病室を出た。

    エレベーターに乗ったら、従兄弟やその奥さんが、
    「Aちゃん、あんたが倒れるなぇ。本当に、あんたのことが心配らて。」と、心から言ってくれた。
    その言葉を聴くと、何とも涙が流れてしまうのだ。
    もし、ここで私が倒れてしまったら、我が家はそう崩れだ。
    私がこうして駈けまわっているから、何とかつながり、今日だけはみんなあるのだ。
    倒れられない。倒れてはいけないのである。

    「大丈夫。頑張らないことにしているて。手を抜いて、いい加減にやっているから、大丈夫らよ。」とは言った。
    しかし、私の友が同じ状況に置かれていたら、
    私も彼の身体のことが心配で止まないことだと思う。

    私は、再び父の病室に行った。
    少し落ち着き、やっぱりベットの上に座りうなだれている父である。
    「じいちゃん、やっぱりばあちゃんに会う気は起きないけ?」と、
    私が腰をかがめ、じいちゃんと同じ目線で語りかけると、
    「明日の朝、返事する。」と、父がぽつんと言ってくれた。
    私は、自分の耳を疑った。
    「明日の・・・朝らね。」
    父は、ゆっくり一つ肯いた。

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