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  • from: クマさんさん

    2012年06月27日 08時49分55秒

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    母は何処に居るのか?

    母は、その間にどこに居たのだろうか?
    母は納棺され、座敷に横になっていたが、
    どうしても私には、そこに母が居るという実感がなかった。
    まだ現実で行われている出来事との認識も確かではなかった。
    確かにこの真っ白な布で包まれた棺桶に横たわっているのは、母である。
    しかし、母ではない母なのだ。

    母は、きっと私を見つめているはずである。
    いや、父の病室に居て、父のベットの脇に佇んでいるのかもしれなかった。
    母は、この身体を離れることで、この身体に限定されない人となった。
    想いを持つ人の魂に、母は現われ、微笑み、語りかけ、交信する。
    母を想起することで、母は母として現われる。
    実に、ほんの身近に母を感ずることがあるのだった。
    私は、母に語りかけていた。
    それは、「ばあちゃん・・・。」であったり、「お母ちゃん・・・。」であったりする。

    あれっと想った。
    こんなにも生前、母と向き合って話しかけていただろうかと。
    「お母ちゃん、居てくれよ。」
    「お母ちゃん、これからも守ってくださいね。」
    そんな語り掛けは、ごくごく自然なのだった。
    対話すらしていることもあった。
    それは、私が勝手に想像する幻影だとは私は想ってはいない。
    母からの呼びかけがあるから、私は語りかけているのだ。

    とにかく、超特急で通夜と葬儀との段取りが決められた。
    東京から従兄弟たちが来てくれた。
    会いたい会いたいと母も願っていた従兄弟たちは、
    この日に新潟を来訪した。
    しかし、母はとてもその訪れを喜んでいるように感じた。
    90歳の母親を独り残して、単身名古屋に居る従兄弟も来た。
    彼のことを、母は我が子のようにいつもいつも心配しているのだった。
    母の想いが、彼や彼女の魂には確実に伝わっていた。
    ここからは、つながる対象とは、目には見えない魂と魂となのだ。
    それも、生者の魂と死者の魂との交信・交流なのだ。

    みなは、それぞれの母を胸に描いていた。
    そこには、心があるだけの数の母の愛が存在していた。
    母は、独りではなく、同時に幾つもの心の中で想起され、存在していた。
    その母の愛が、この従兄弟たちを遠方から呼びよせたのである。
    母は、このそれぞれの心に今でも存在し、呼びかけ、力になっている。
    今でも、母は励まし続け、母はその無償の愛により感謝され続けている。

    「ありがとう。」その言葉を捧げられる人が、母だった。
    その「ありがとう」には、人それぞれが恩と感じた母の行いが存在していた。
    母は、どれだけの種を捲いて来たのだろうか。
    その種は既にしっかりとそれぞれの魂に根付き、芽を出し、成長を遂げている。
    母から受けた施しや言葉は、けっして喪われたり、消えたりしないものなのだ。
    これですと、差し出すことはできないが、
    目には見えない母の施しや言葉は、確実にそこに生きて、光輝いていた。

    私は、それが母の誇りだと感じた。

    祭壇が美しい花でいっぱいに飾られた。
    花が大好きだった母にふさわしい祭壇となった。
    また、生花のは15も両脇に並べられていた。
    圧巻のこの光景に、やはり母の生涯の誇りを感じた。
    母に対する感謝は、花と言う美しさとなり、ここいっぱい輝いていた。

    私は、何度も式場に足を運んだ。
    中央に飾られている母の写真を見つめた。
    待てよ。やっぱり母は、ここにはいないよなぁ。
    もちろん棺の中にも母の身体はあっても、母は居ないのだった。
    私は、母を探しながらも、母は探さなくともすぐ傍に居てくれるように感じていた。

    病院の父には、通夜のことは知らせなかった。
    病院からストップがかけられたのだ。
    急激な環境の変化と、母の死という苛酷な現実。
    長時間の緊張には、父の精神も体力も耐えられなくなっているのだった。
    誰が予想しただろうか。
    母の通夜に父が居ないということを。

    私は、喪主になりかわって一切を仕切らねばならなかった。

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