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  • from: クマさんさん

    2012年07月02日 10時07分47秒

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    海や空や山や森のように

    介護の日々には、土日はなかった。
    毎日の繰り返しが、エンドレスのように続くだけだ。
    そんな中で、ストレスばかり溜めてしまうこともある。
    疲れが抜けずに、何ともイライラとしてしまうのだ。

    そんな時は、海を見に行くことにしている。
    病院の帰りに海岸道路を走ってトンネルを抜ける。
    その途中の駐車場に車を止めて、海を見る。
    ただ、それだけなのに、何とも心が穏やかに落ち着くものだ。
    自然の雄大な眺めを見ていると、
    ちっぽけな自分の悩みも、忘れられる。

    母が亡くなったから、母に話しかけることが多くなった。
    私は、海を見ながら、海から見つめられ慰められるように、
    母を想うと、母に見つめられ、慰められるような感じがする。
    それは、風のように手にはつかめないものであり、
    空気のように目には見えないものなのだが、
    何とも言えぬ存在感として、私を包んでくれている。

    だから、私は全てのことを正直に、母に話す。
    母は、生前のように笑顔でその話一つ一つを聴き、肯くばかりだった。
    私が話している内に、私の気持ちが落ち着き、私なりの解決方法を見つけたりする。
    何だか今の母の存在は、私にとっては有り難く、素直に何でも話せる頼りになる人なのだった。
    チーン。
    母の前では、心が開かれ、全てのことを明らかにして話している。
    私は、海や空に語りかけるようにして、母に語る。
    母は、私にとっては最高のカウンセラーだ。

    母がお骨になってからは、我が家に仏様がいるような気がする。
    私は、向こうの深い深い世界に向かって話しているつもりになる。
    そして、全てを受け止めてもらい、安心をする。
    「任せたよ」と、言える相手を持てたことは、私にとっては幸いだ。

    昨日、妻の病室に行ったら、同室山形から来た80歳のお婆ちゃんと出会った。
    彼女はとても霊感が強いらしく、
    前夜に紳士の幽霊?が廊下を大股で歩く姿を見たのだそうだ。
    この話は、とても興味深い話だが、長くなるのでここまでにする。

    そのMさんは、庄内で農家を営んでいる。
    10名余りの人たちを代わる代わる使っている、やり手の経営者である。
    そのMさんの人望と優しさとを頼って、多くの人が相談に来るそうだ。
    そんなMさんに、私は初対面だった。

    ベッドの上に病院の寝巻を着て、ぴょこんと座ったおっとりとしたお婆ちゃんだった。
    私が、ただ今介護の日々を送っていることや、
    母を先週に亡くしたことや、
    日々、家庭での生活に追われていることを知っていた。

    それは、夕方の4時過ぎだった。
    病室の窓辺に置かれている椅子にぐったりと座った私に、
    Mさんは、話しかけて来た。
    「旦那さん、大変らね。旦那さんが一番大変らんだね。独りで何でもしなければにらないからね。身体壊しなさんな。」
    何気ないそれは思いやりの言葉だった。
    私の苛酷な状況に対しては、ある意味当たり前の言葉だった。

    ところが、ところがなのだ。
    Mさんにそう言われた途端に、私の双眼から堰を切ったように、
    生ぬるい涙が次々と溢れだして、止まらなくなってしまったのだ。
    私は、自分でも何が何だか分からなくなってしまった。
    この人は、私の辛さを分かってくれる。
    この人は、私の辛さに泣いてくれる。
    私は、悲しくて泣いているようであるが、この涙は悲しみから出た涙ではなかった。
    私は、ここまで独り耐えて来たこの私の辛さを抱きしめて、
    よしよし辛かったなぁと懐に入れて受けとめてもらえた安堵感から、
    流した涙なのだと、その時想った。

    私は、泣いていた。
    それは、まるで幼子のようにである。
    そしたら、もっともっとこの人と一緒に居て、話を聴きたくなった。
    そして、何だか初対面なのに、とてもとても好きになってしまったのだ。

    海や空や山や森がそうであるように、
    死んだ母がそうであるように、
    Mさんに言葉をかけてもらい、想いを聴いてもらうだけで、
    心がとても安らいで、重荷がぐっと軽くなった気がするのだった。

    そういう人っているのだなぁ。
    そういう人が大切なのだなぁ。
    そういう人に、私もなれたらなぁ。

    Mさんのご家庭の話を聴きながら、私はMさんを母のように感ずるのだった。

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    さけ 秋桜

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