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from: クマさんさん
2013/02/02 15:16:39
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ベッドの上の父
父の所に行って来た。
やっぱりベットで寝ているだけだった。
私が部屋に入って声をかけると、うっすらと目を開ける。
そして、黙って身体を起こしてベッドに座る。
言葉をかけても返事するのがやっとだった。
私がテレビを観ていると、その横でベッドに腰掛け、黙って見ている。
時折、何か話しかけてくるが、よくは聞き取れない。
口が回らず、はっきりしないのだった。
「そう。うーん。」とは一応頷く。
それから、気がつくと父はまたベッドに仰向けに寝ているのだった。
父の楽しみとは、いったい何だろうか。
父には、やっぱり生き甲斐はないのだろうか。
「死ぬのを待っている」と、父は想ってその夜を迎え、朝を迎える。
一日が始まったとしても、その生活に喜びもなく、希望もない。
では、どうして生きているのか。
しかし、父はそんなことを考える人でもなく、本を読む人でもなく、
何か熱中して取り組む趣味を持つ人でもなく、
人と自分から交わろうとする人でもなかった。
父のその絶対の孤独に対して、私は何ができるのだろうか。
父は、いつかその日を迎えるであろう私だった。
「また来るね」と、握手して父と別れてくる。
父は、すぐにベッドに横になり、うつらうつらとし始めるのだった。
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