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  • from: クマさんさん

    2013年09月02日 11時00分03秒

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    音楽劇「慈眼 涌井藤四郎という人」

    日曜日に「慈眼」の稽古を見てきた。
    多いの人の想いによって、一つの物語が完成に向かっていた。
    東区市民劇団 座・未来による音楽劇だ。
    今回は、原作・脚本だけでの参加だった。
    いろいろと事情があって、公演間近のこの時期しか参加できなかった。
    何ヶ月ぶりに会う劇団の役者さんたちが、とても眩しく感じられた。

    明和義人の物語を知っているだろうか。
    1767(明和5)年に新潟町で起こった騒動の物語である。
    その騒動の中心人物であり、「明和義人」と呼ばれた人が涌井藤四郎だった。
    彼は、この騒動の首謀者として捉えられたが、
    それをきっかけに下の町人が蜂起して、日和山に集まり、
    米問屋や大商人の家を襲った一揆を二日間に渡って起こした騒動だった。

    新潟町を支配していた長岡藩の役人たちは、敗走し、
    新潟町を実質的に支配していた大商人たちの権限は町人が奪ったのだった。
    そして、何となんとである。
    この武士が支配した江戸時代にあって、
    一揆を起こした町人たちが、藤四郎を総代に置き、
    二ヶ月もの間、町人たちの手による自治が行われたのである。

    パリでの市民革命である、パリコミューンの100年前の出来事なのだ。
    新潟の先人たちの凄さを、私はこの騒動から感じていた。

    しかし、分からなかったことは、市井の呉服屋であっただけの藤四郎が、
    どうして新潟町のために命を賭して戦いの先頭に立ったのかとといことだった。
    藤四郎は、けっしてヒーローではなかったはずだ。
    51歳。当時は家督を子供に譲って、悠々自適な隠居生活が待っていたはずだ。
    そんな揉め事なんぞはまっぴらごめんだと、
    やっぱり他の人なら思ったに違いない。
    でも、藤四郎は人々を集め、税の半金750両を待ってもらうための署名を始めたのだ。
    この企てが発覚すれば、死罪は覚悟のことだった。

    なぜ、藤四郎は行動したのか。
    その答えを自分なりに発見するまでには、長い長い月日が必要だった。
    自分で納得のいかない物語は書けないものだ。
    特に物語には時代性と伝えたいメッセージが必要だと私は思っている。
    その価値に気づかない限り、筆は全く進まないのだ。

    ところが、ある日、お地蔵様を通して、ある言葉が心に響いてきたのだった。
    「見て見ぬふりはできない。」「けっして見過ごしにはしない。」と。
    どんだけ辛さと悲しさと孤独の中で、このお地蔵様を拝んだことか。
    ところが、ある日気づいたのだ。
    お地蔵様は、絶対に私のことを見捨てはしないと。
    見捨てないことが、お地蔵様の想いと願いなのだと。
    そうだった。その慈悲こそ、お地蔵様の想いであり、
    その想いがあるからこそ、こんな弱くて愚かな男も今日一日は生かされてきたのだ。

    この世界には、本当は慈悲が満ちているのではないだろうか。
    私たちは気づかないまま、慈悲に包まれて生きているのではないだろうか。
    きっと悲しみの傍らには、慈悲の人が寄り添っていてくれるはずなのである。
    そうでなければ、人は生きてはいけないはずだ。

    そして、藤四郎は、本来人が生まれながらに持っているも
    「慈悲の想い」に目覚めたのである。
    しかし、この道は厳しく険しく孤独な道でもあるのだった。
    この道を全うするためには、何かを捨てなければならないし、
    この道を実践するためには、本当の勇気をもたねばならないのだった。
    それは、人の為であるが、仏の道を歩くということでもあるのだつた。

    この世界は、愛に満ちている。

    けっして見捨てられることはない。

    悲しみと孤独と絶望の傍らには、必ずたたずむ人がいる。

    藤四郎が、その道を信じて歩いたことで、
    世の中は少しの間変わったのだ。

    そして、これからも、いやこの時代だからこそ、
    新たなる涌井藤四郎の登場が待たれるのだと私は思っている。

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