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親父たちよ

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  • from: クマさんさん

    2014年03月20日 06時29分26秒

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    昨日、父に会いに行った。
    部屋に入ると、父はいつもベッドの中だった。
    「来たよ」と声をかけると、うっすらと目を開ける。
    私だと確かめると、軽く右手を挙げる。
    会うたびに年をとり、遠くにいくような気がした。

    暗い部屋だった。電灯がつかなかった。
    父が手元のリモコンを押しながら電灯をつけようとした。
    それでもつかなかった。私のせいだった。
    私が入口のステッチを押してしまったからだった。
    「来て、何かいじるから、いつもこうだ」と、父はいつものように怒り出す。

    私がもらった賞状があった。
    「あれ、どうしてここに置くんだ。もって帰れ」と、また怒り出す。
    私が黙ってテレビを観ている背中に向かって、
    何やらブツブツと怒ってばかりだ。
    うるさいなぁ。かわいくないなぁ。

    それでも、父は私の来るのを待っているそうだ。
    どうして、優しく話ができないのだろうか。
    せめて黙っていてくれたら、もう少し長くここに居られるのに。
    しばらくしてから、私は立ち上がり、コートを着た。
    「また来るよ」と、父の細く弱々しい右手を握る。
    昨日は、いつもよりも冷たかった気がする。

    私が帰るときだけ、右手を挙げて「ありがと」と言う。
    「また来るよ」
    ほんの短い訪れだった。
    それでも、父はここで生きていてくれている。
    母は、チーンの音の彼方に行った。
    でも、母は違った姿で私の背中をいつもいつも心配そうに見守ってくれている。

    父は、きっと母に会いたのに違いないと、
    部屋の扉を閉めながら、いつも私は思っている。



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