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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2015年10月25日 22時50分23秒

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    次男の誕生会だよ

    次男の誕生会だった。
    誕生日は明日の10月26日なんだけれど、
    やっぱりお休みの今日がいいと、今日に設定した。
    20歳になる。
    あのノリぼうがである。
    子どもは、やっぱり神様からの授かりものだ。
    私は、長男と次男とを、神様から預けられたとある時思った。

    私に託されたその子どもたち。
    なのに、心配をかけているのは私の方だった。
    不良中年親父だ。
    そんな親父をじっと黙って、見つめて来た二人だった。
    私には、何も親父らしいことを言えない二人でもあった。

    次男が二歳の時、インフルエンザから生死を彷徨った。
    市民病院のICUに三日間だった。
    医師からは、「何とも言えません」とだけ。
    あの閉ざされた扉のこっちで、
    涙涙で待たされていたあの夜中の恐れと、絶望。
    二月の雪は、深々と見上げる私に堕ちて来た。
    何だか、降る雪を観ていて天に昇るような錯覚だった。

    必死で神様に祈っていた。
    駄目親父のできることは、命だけは救ってくださいと祈ることだけだった。
    ああ、ああ、と叫び、呻き、嘆き、悶絶しながらも、
    ただただ雪は静かに降り落ちて来た。
    あの夜の孤独は、絶対に、一生忘れない。

    ノリぼうが、今ここで、どうなるか分からないと言う。
    何で、そんな、馬鹿な、どうして、ノリが。
    そうだったなぁ。

    やっと入ることを赦されたICUのベッドの上で、
    たった2歳のちっぽけなノリぼうは、
    小さなベットの上で、点滴に繋がれながら、
    おしゃぶりをして泣き目のまんま、
    「とうしゃん、とうしゃん」だった。

    私は、か細い腕に巻かれた包帯に、
    ノリが大好きなトーマスの絵をマジックで描いていた。
    「ノリぼう、また父さん、トーマス描くからな」
    「また、元気になった、でっかいトーマス描くからな。」
    涙でぐしゃぐしゃになりながら、
    その包帯に私は、機関車トーマスの下手な絵を描いた。

    あっちこっちのビーコンが止まるのだ。
    「ピッ、ピッ、ピー------」って。
    すると看護師さんが駆けつけて心臓マッサージをする。
    息の止まったおじいちゃんの蘇生のために、
    心肺停止を蘇らせるで電気ショックをかけるのだ。

    人が生き死にをする最前線の戦場だった。
    ノリぼうは、その戦場から生還してくれた。
    医師からここを出る許可を得てからも、
    2か月間あの小さな体で市民病院の小児病棟でかれは暮らした。
    どれだけ泣いたことだろうか。

    いたいけな。
    注射を嫌がり、手すりの端まで身を縮めて抵抗する姿に、
    私は、泣いた。泣いた。泣いた。
    ただ、祈ることしかできなかった。
    でも、本当は祈ることこそ、最良なる救いの道だったと後からは分かった。

    私は、職場からの帰りに、市民病院に行った。
    そして、その地下の食堂で夕食を食べた。

    彼が、退院してくれた。
    或る日の日曜日だ。
    私は、いつものようにノリぼうを連れて大山台に遊びに行った。
    そこで、桜の木の長い枝を拾って、
    あの大山台のグラウンドいっぱいに、
    どでかい機関車トーマスの絵を私は描いた。

    ノリぼうは、
    「トーマス、トーマス」って、大喜びだった。
    私は、そんなトーマスの笑顔を見て、
    ノリぼうとの約束が果たせたと、
    そして、ここに神様は再び私にこの子の命を託してくれたのだと、
    ただただ涙が、涙が、止まらなくて、嬉しくて、たまらなくて、

    私にとっては、二度と出会えない機関車トーマスの絵でもあった。
    ジッ、ジッ、ジッと、枝で土を削りながら絵を描いたんだ。

    ノリぼう、20歳の誕生日、おめでとうございます。
    生きていてくれてありがとう。
    父さんは、ただノリに頭を深く深くたれるばかりだよ。

    思う存分、ノリを生きてください。
    父さんの願いは、それだけです。
    面と向かっては言えないけどね。

    大好きだよ。ノリぼう。

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