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  • from: クマドンさん

    2016年03月21日 08時16分04秒

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    長野県の渋温泉にタイムスリップ

    レトロな温泉街だった。
    長野県の渋温泉は、昭和を懐かしく感ずる人にはお勧めだ。
    昭和を知らず、日本の日本らしさを知らない人にもお勧めのエリアだ。
    何だかあの横浜ラーメン館に入った時のような錯覚を覚える。
    時代を超えて、ここはあの父や母に手を繋がれて歩いた街ではないか。
    タイムスリップしたような懐かしさを感じた。

    九つの外湯巡りをする。
    一の湯から九の湯までの小さな小さな湯船の温泉だ。
    大人が四人も入ればいっぱいになる風呂もある。
    中には源泉が近すぎるために、「火傷注意」と書かれた風呂もあった。
    それでも、水道で薄めて薄めて、じっと身動きしないで入った。

    外湯の鍵は家族に一つ。
    だから、妻と長男と私とは、常に一緒に行動しなければならなかった。
    「何時に出よう。」
    入りながらも隣の女風呂に声をかける。
    「こっちは熱っくて、入れねよ。」
    「こっちはちょうどいい湯加減だよ。」
    「もう出るぞ。」
    何だかこの薄い壁越しの会話が、とてもとてもレトロだった。

    この街の路地がこれまたいい。
    人二人が横になって歩けないくらいの狭さの路地。
    その裏の世界に入ると、この温泉街の古さと言うか、歴史を感ずる。
    煉瓦の壁の大正時代を思わせる信濃喫茶があった。
    ひょんなところで老舗の旅館の玄関がある。
    表通りも乗用車一台が通れるだけの幅しかない。
    それが全部美しいタイルのような石畳で覆われている。
    下駄の音が妙に響く道だった。

    夜がまたいい。
    セピア色の街灯に彩られ、まるで千と千尋の世界のように、
    トンネルを抜けたら異世界だった。
    小石屋という旅館のカフェに行った。
    カウンターには外国からのお客さん。
    エスプレッソマシーンが新しい。
    何でも証券マンをしていた彼が、一念発起して廃業したこの老舗旅館を買い取り、
    実にモダンに改装して、格安な宿として昨年の夏にオープンしたばかりだった。

    その彼と語りながら、この渋温泉の魅力を共感し合った。
    心と言うか、魂と言うか、その奥深くで「ここだった」と想わせる場所だった。
    ただ、新参者には歴史と伝統の街は厳しく、
    温泉協会には入れてもらえないそうだった。
    だから、この格安の宿に泊まっても外湯巡りはできない。
    ただ、この宿に居るだけで、ワールド感を満喫できる。

    それは、スノーモンキーというインタネットに載った一枚の写真から始まった、
    何とも不思議な地獄谷温泉の物語だった。
    雪の露天風呂の温泉に野性の猿たちが入って和んでいる。
    お客のスマホを奪った猿が、温泉にどっぷりつかりながらそのスマホを見つめている。
    そんな写真がネットに載ったものだから、
    世界中からその温泉の猿たちを観るために観光客がやって来る。
    冬期間は一般車両は通行止めとなる山奥の奥にその谷はある。

    野猿公苑に行ったら、いたいた。
    観光客がわんさとスマホやカメラで、猿たちを撮っていた。
    すれ違う人の半分は、外国からの観光客だ。
    すごいものだと、この猿たちの実力をここで悟った。
    ほんの足元に猿の子どもたちが遊び、戯れている。
    何も人間たちのことは気にせず、ごくごく自然に生活している。
    家族が一つに抱き合って、暖をとって和んでいる。
    「かわいいーーーー。」は、人にとっては癒しの感覚だ。

    子猿のあどけない表情や、その仕草に、思わず笑みがこぼれてしまう。
    確かに、猿の数よりも人の数の方がはるかに多かった。
    一人500円の入園料。
    一万人で500万円だ。
    こんなに稼ぐ猿たちも他にはいまい。

    最期に志賀高原ビールの醸造所へ向かった。
    そこは昔からの酒造で、ギャラリーにもなっている。
    このビールが、クラフトで、雑穀で、なかなかの美味だった。
    小瓶に入ったビールのラベルがまたまたおしゃれで、素敵だった。
    この連休には、この会社が主催したコンサートが志賀高原で行われている。
    集客にも一役をかっている酒造所でもあった。

    昭和を頑固に守り続ける温泉街。
    新たな感性でワールドな旅館を創造しようとする新参者。
    古臭いは、文化であり魅力なんだと譲らないホテル「N正」の人たち。
    そして、こんな山奥まで外国の人たちを呼び寄せる猿たち。

    やはり、旅とは、新たなる発見であり、出会いであると、改めて想った。
    「また来たいね。」
    それは、車の中の妻と長男と私との感想だった。
    心に残る温泉街は、やっぱりあったんだと、この出会いがとても嬉しかった。

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