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from: クマドンさん
2016/05/28 09:45:09
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さらに深く
昨日「海よりもさらに深く」という映画を観て来た。
金曜日はユナイテッドは千円の日だ。
是枝監督は、私の好きな監督の一人。
何気ない日常の家族の描写にいつも感動させられている。
うだつの上がらない小説家志望の中年男。
興信所に勤めているが本気にはなれず、競輪で有り金全部をすってしまう。
亡くなった父親は、いつもギャンブルで多額の借金。
樹木希林の妻からは、金を盗んではギャンブルですっていた。
まるで、私の亡くなった父のような男だった。
離婚した妻(真木よう子)には新しい金持ちの恋人がいる。
その妻の様子を若い部下とじっと車から見つめている彼。
この阿部寛が実にリアルで、実にいい。
月に一度、中学生の一人っ子の男の子と会える日がある。
その時、妻と約束した養育を10万円をいつも渡せない。
ぼろぼろのアパートでガスや水道を止められるような生活をしている。
「どこで人生を間違ってしまったのだろう。」
それは、私たちみんなの心の声だった。
何かになろうとして生きて来ただろうか。
それても、彼の言うように、今なりたい人になる途中なのだろうか。
振り返ってみたら、それでいいと想えるのだが、
この道しかなかったのかと、ふと想うこともある。
私は、子どもたちに対してどんな父親だったのだろう。
彼等が中学生の頃、私はいったい何をしていだろうか。
サッカーボールやスパイクを買ってやったことはあったたろうか。
私と子どもたちとで食べに行ったことはあっただろうか。
台風の大雨の中、公園のタコ滑り台で、
お腹を減らして一夜を明かしたことはあっただろうか。
子どもたちは、私のどんな思い出をもっているだろうか。
私は、どうして分からなかったのだろう。
今も、やっぱり今気付くべきことを気付かない分からない父親であろう。
何故か、そうして大切な今になすべきこと、言うべきことが分からずに、
こうしてずっとずっと生きて来たような気がする。
大器晩成の男、阿部が金を借りに質屋に父親の大事にしていた硯を持って行った。
昔からの馴染みの質屋の親父は、彼が文学賞を受賞した本を彼に見せた。
「あんたの親父さんが、初版本だと言って、みんなに配っていたよ」とのこと。
父は、小説家になることを大反対しながらも、受賞を喜んでいたのだ。
その本をじっと見つめると、父の息子に対する優しさが滲んでいるようだ。
そんな一冊が、私にはあるだろうか。
振り返ってみたら、心の中には物語がある。
しかし、それはもうすっかり過去の物語。
取り返しのできない月日は、私と家族とにはたくさんたくさんあったものだ。
でも、そこに帰ることはできない話。
例え、私が帰ったとしても、きっと同じことの繰り返しだろう。
では、これからのことを考えているかと言うと、そうでもなかった。
どういうわけか、私は何だか人生への期待が無くなってしまったようなのだ。
これからどうなるかは、誰にも分からない物語。
ああなりたい。こうしたい。それが私から無くなった。
どうでもいいということではないが、諦めのような心境だ。
淡々と現実を受け入れ、じたばたしない。
いや、そうやってどたばたと生きて行くことから、降りたんだ。
彼は、妻の再婚と新しい人生のスタートを見送る決意をした。
何とかなったはずの夫婦だったが、
彼はその何とかに気付かずに、自分の夢に向かって突っ走ってしまった。
きっとどこかで選んだ道の結果がこれだった。
私にも、その気持ちはよくよく分かる。
でも、人は失わない限り、その分かるが分からないもののようだ。
少なくとも、彼と私はそうだった。
どうにもならないが、どうにもならない自分を生きている。
それしか、生きようがないからだ。
今、急に右手が痺れて来た。
二日前も目眩と痺れだった。
この身体もそんな風にがたが来ているようである。-
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