新規登録がまだの方

下の[新規登録]ボタンを押してコミュニティに登録してください。

新規登録(無料)

登録がお済みの方はこちら

コミュ二ティポイントのご案内

詳しく見る

親父たちよ

親父たちよ>掲示板

公開 メンバー数:62人

チャットに入る

サークルに参加する

サークル内の発言を検索する

新しいトピックを立てる

サークルで活動するには参加が必要です。
「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
※参加を制限しているサークルもあります。

閉じる

  • from: クマドンさん

    2016年06月14日 05時19分28秒

    icon

    庭の剪定

    さてさて、やり始めた仕事は、最後までやり遂げようと、
    昨日はくたくたになって帰って来てから、庭の樹木の剪定だった。
    生い茂る枝葉をかき分けかき分け、鋏を入れた。
    パチン、パチンと音を立てて、枝を切り落とす。
    その枝を大きなポリ袋に入れる。
    昨日からの作業で、その袋が6つにもなった。
    それでも、まだまだこの仕事には終わりがなかった。

    育てるために、枝を切る。
    反対だと私は勘違いしていたが、
    ある日、従兄のHさんの作業を見て、目から鱗の驚きだった。
    母の葬儀を前に、彼は我が家の庭を見て、愕然とした。
    樹木は伸び放題に伸び、野放図に繁殖し、うっそうとしていたからだ。
    私は、父の庭なので何も言わず、何も手を付けなかった。
    彼は、自宅の広大なる庭の剪定を全部自分でやる庭師でもあった。
    彼にはきっとこの庭の樹木たちの声が聴こえたのだと、今にして想う。

    彼は軽トラに馬鹿長い脚立を積み込み、我が家にやって来た。
    「クマさん、これからやるてば。」
    彼は、鋸を片手にその脚立に乗り込み、バスバスと太い枝を切り落とした。
    いつの間にか庭は、その切り落とされた樹木で足の踏み場もなくなった。
    彼は、庭の樹木を育てようと、どうしてその樹木をバツバツと切り落とすのか、
    私には、その真意が分からなかった。

    本当に休まずの一日がかりの作業だった。
    彼は、独りで軽トラの荷台に山のように枝葉を積み込んだ。
    「一回で駄目らすけ、もう一回積みに戻ってくるけな。」
    彼は既に60歳をとうに超えていた。
    私より10歳年上の従兄だった。
    彼は疲れも見せずに、新津の朝日までその日に二往復をしてくれた。

    さて、その後の庭を見て驚いた。
    清々としていた。
    とても明るくなっていた。
    何よりも樹木がすっきりと垢を落として、ほっとしていることを感じられた。
    散髪の後の気持ちよさとでも言うのだろうか。
    私は、何だかその新たなる庭の姿に、静かな感動を感じた。
    この庭の樹木たちは、きっと従兄のことを心から待っていたのだろうとも感じた。

    それから、訳があって、私がここに居なくなり、
    いつの間にか、この庭はかってのように荒れ放題になってしまった。
    不思議なものだ。
    庭を見るだけで、その家庭の生活の様子が目に見えるように感じられる。
    荒れた庭には、荒れ放題の家族が居たりする。
    それは、しっかりと見守り、心を配り、入れる時に鋏を入れる人が居ないからだ。

    伸び放題に育つ。
    そこには、荒れはあっても、喜びは存在しない。
    きれいに刈り込められた樹木は、愛される喜びを知っているが、
    野放図に伸びきった樹木には、心の荒れと、寂しさとが感じられる。
    そんなことが私にも見えるようになって来た。

    昨年の秋、私はその荒れた庭を見て、いたたまれず立ち上がった。
    とにかくあの従兄の獅子奮迅の、懸命なる姿が私の中で蘇った。
    「やる。」「切るぞ。」
    私は、片っ端から枝葉を切り落とした。
    こんなに切ってしまってもいいのかと不安に想うほどすっかりと一掃した。
    するとやっぱり庭は、あの日のように蘇り、笑顔に輝いた。
    鋏は、入れる時にちゃんと入れられねばならない。

    私は、今がその時なのだと、鋏を入れている。

    「真実に愛するには、拒絶の恐れを克服しなければならない。」

    「愛は信念の行為である。」

    「私たちは愛すべき時に愛することを学ばねばならない。」

    「愛が受け入れられるのを保証されるまで愛するのを待ってはならない。」

    「拒絶の恐れを克服して他者の幸福に自らを与える者、愛する人にならなければ、
     愛すべき人を失ってしまうかもしれない。」

    今朝、読んだ本の中の一節だ。

    私は、夫として親として、真摯に誠実に向き合って来ただろうか。
    慙愧に絶えない想いがある。

    例え拒絶されても、それでもやっぱり鋏を入れるべき時には、鋏を入れる。
    この覚悟こそ、信念であり、愛なんだなぁと、
    庭の剪定から教えられた。

    • コメントする

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0
    • 拍手する

      サークルで活動するには参加が必要です。
      「サークルに参加する」ボタンをクリックしてください。
      ※参加を制限しているサークルもあります。

      閉じる

    • 0

    icon拍手者リスト

コメント: 全0件