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  • from: クマドンさん

    2016年11月21日 06時17分08秒

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    「風の波紋」と再会できた

    「風の波紋」を観て来た。
    「途中の会」のSさんと、Wさんと一緒だった。
    2人は小千谷でSLを観て来た。
    そして、車で海老ケ瀬の県立大学に到着だった。

    妻有の大雪の山里での生活だった。
    何でここに生きている人たちの姿に感動して、涙が止まらなくなるのか、
    いつもいつもこの映画を観る度に考えている。

    「大雪の中でも、ここ人たちは笑顔なんだ。」
    「それから、いつも助け合って生きている。だから、独りにならないんだ。」
    移住してきた若い女性の天野さんの言葉だった。

    長作さんの家は、地震のために半壊の状態だった。
    老夫婦の馴れ初めも愉快で哀しい話でもあった。
    黙ってテーブルの湯呑を持ってお茶を飲んでいる長作さん。
    私は、その語らない寡黙な姿に、ある頃の父を見ていた。
    おばあちゃんも黙って、縁側から外を観ながら一息ついている。
    語らない。

    半壊になった家をどうするかと、小暮夫婦が語り合っていた。
    まだ建っている百何十年たつ茅葺の家を、
    壊してしまうのは何とも何とも申し訳なく、哀しいものだ。
    だから、何とか再生させてみようと決意した。
    やっぱりこの家、この土地が棲み家なんだ。

    飼っていた山羊を食べる。
    その朝は、雨だった。
    静かにそして寂しげに山羊は、飼い主の小暮さんから、渡された。
    次のシーンは、座敷での宴会だった。
    「これが肺だよ」と、美味そうに山羊の肺を口にする。
    「ありがたいねぇ」「いただきますね」と。

    山奥の民宿の親父と、尺八吹きのお父つぁん。
    とにかくすごい劇でもあった。
    「風が、風が、風が吹く・・・・。」
    その激しい語りには、雪の中で生きる人の逞しさと祈りを感じた。

    何でこの映画が懐かしいのか、私には分からない。
    50年近くこの村を離れて、里帰りした叔母ちゃんが涙ぐんでいた。
    「どんどんこの村が亡くなるみたいでね」と。

    そうなんだ。
    この村は、この暮らしは、この人たちは、きっといつかいなくなることだろう。
    こうした山里の棚田で、手で苗を植えて、草を刈る生活は、
    これから百年後は、もうどこにも存在しないのでないだろうか。
    縄文から続いた山里での暮らしも、
    この人々が生きていたこの村も、
    そして、そうやって身体をつかって日々を暮らした人たも、
    きっといつかは消えて行く。

    変わることや、衰えていくことや、いつかは消えてしまうことは、
    それはそれはとても自然なる流れであるが、
    そのことをとどめることは誰にもできないことでもあるが、
    でも、だからと言って、こうして街に住み、
    人工的な建物に囲まれ、人ばかりのごみごみしたところに暮らしていると、
    何だかやっぱりそのこと全てが懐かしいものに感じられる。

    移りゆくものの中の緩やかな時の流れの中で、
    日々を、人生を、自分を、家族を、そこで生きる。
    それは、いつか老いて、そこで倒れ、死ぬことでもあるだろうが、
    それがそこで生きている全てのものの本望のように、
    その時が来たら、その時を感じて、黙って笑って去って行く。

    その去り方や、消え方が、自然がそうであるようにして、そうであるから、
    どこか深くで諦めて、どこか深くで感じたままに、
    そのままでいいがなと、消えて行ける。

    「ああ、いかったな。難儀なこといっぺあったけれど、いかったこて。」

    何だかね。すーっとこの風景に独り独りが溶けて行く。
    この人工物とごみごみした人と人との狭い狭い繋がりの中では、
    全くそんな気持ちにはならないと想えるような、
    そんな人が人を懐かしみ、人が人を見つめ、人が人をちゃんと想っている。
    そんな暮らしが、この山里にはあるのだと、
    きっと私が知らずして感じたから、
    涙がすーっと溢れて来るのだ。

    在るものが在ると、安心する。
    そうだよなぁと感じたら、懐かしくなる。
    それは、私が経験したものではなくとも、
    人としての私がきっと絶対にかって経験していた想いの懐かしさだ。
    それは、あの炬燵の温もりであり、あの竈の炎なのかも知れない。

    でも、きっと、あの学生たちには、
    この映画の懐かしさをどれほど感じたのか、もっと聴きたくもあった。
    ここで生まれた。ここへ還る。
    それまでのぐるりが、人生と言うものだ。
    そのぐるりを自然と共に暮らせたら、きっと幸せなんだろうなぁと、
    新潟駅までSさんを車で送りながら、私はそんなことを考えていた。

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