寝坊した。つい、さっき目が覚めた。
寝坊にはわけがある。
昨夜、この地域の町内会長さんたちとの新年会だったからだ。
こんな若造の私だが、ある役に就いたために、
そんな会にもお呼びがかかる。

さて、知った人ばかりだった。
我が町内会長Ｅさんは、我が町のトランプだった。
それでいつも気前よく、男気を出してくれる。
これからの活動は、この人の協力が必要だ。

Ｏさんは、民生委員になってから、介護の仕事についた人だった。
義父の１０年間に渡る寝たきりの介護の姿を見て、
自分が果たせなかった父や母への感謝と恩を返したいと、
この道に入った女性だった。
私も今年は、初任者研修を受けようと想っている。

Ｉさんは、昔からの父の後輩の人。
今は、ある委員を選ぶ立場になっている。
新潟地震の時、父は自転車に乗って一番にＭ小へ私を迎えに来た。
いつもよく私の自慢話をしていたらしい。
その話を聴きながら、父の笑顔を思い出し、涙が流れた。

Ｓさんは、深い深い人だった。
彼が町内会長をしている町内の井戸端会議に声をかけてもらっている。
改革刷新。
そんな想いがあることこそ、この老人地域には必要だった。
みな孤独だ。みな引きこもっている。そして、不自由を感じて生きている。
その人たちを何とかしたい。
子供会を育てたい。
やっぱり深い深い人だった。
それは、自分よりも地域の人たちのことを先に考えているからだ。

Ｗさんがいた。
私も彼も１２月からの信任だった。
彼は現役を引退してから数年たっている。
私は、彼によって子供会や地域活動のノウハウを教えてもらった。
それは、村上から帰って来たあの２０年前になるだろうか。
私も彼も、若かった。
私は、彼のことをこの地域に配布されるかわら版に書いたことがある。
彼は、その記事を近所の人から教えてもらい、自分のことだと知った。
彼は、私ではないＣさんが書いたものだとずっと思っていたようだ。
Ｓさんに「それ、このクマさんが書いたんだがね」と、教えられ、
「そうらんけ」と、感謝された。
本当に本当に「いい人」なんだ。

Ｎさんがいた。
彼はもう７０歳になったそうだ。
祭りのトランプだ。
どれだけ彼にどやされ、可愛がられたことだろう。
おっかねぇから、喧嘩早いからと、遠巻きにしている人もいる。
でも、どういうわけか彼は私に声をかけ、目をかけてもらった。
木工職人の彼は、病になり現役を退いたが、
ご自身の工場で欅を使って、私に太鼓の撥を作ってくれた。
そういう人だった。

そんなこんなで、２時間はあっと言う間だった。
そして、ひとり、とぼとぼとお月様に照らされて帰りながら、
みんな年をとったなぁと、ふと感じた。
皆さんがそうやって働いていてくれたおかげさまで、
こうしたこの地域の人々の日々の暮らしがあったんだなぁとも改めて感じた。

何よりも、みんな「いい人」なんだ。
「いい人」とのお付き合いができることは、
人生にとっては、とてもとても幸せなことだと想った。
「この仕事、天から与えられた仕事だなぁ」
お月様が話微笑んでくんなさった。