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  • from: クマドンさん

    2017年12月21日 06時22分21秒

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    独りを楽しむ人に

    新年会の話で、小千谷のSさんに電話した。
    私たちの電話は、主に日曜日の朝だった。
    それぞれがそれぞれの生活の中で生きているので、
    お互いにとって自由な時間がそこだったからだ。
    しかし、時々、こうして平日の夜、
    私が酔ったままの語り合いになることもある。

    でも、こうして語り合える師がいることが、何よりもありがたかった。

    独りだなぁと、最近、想う。
    でも、若い頃は独りが寂しく、独りが惨めで、
    何だかたくさんの友達に囲まれてわいわいと騒いでいる人気者が、
    羨ましくもあった。
    しかし、還暦に到り、いつしか亡くなった父の心境に近くなった。
    語り合える友は、何人かいたら、幸せだ。
    独りで居る、その時間が楽しく感じられる。

    独りがいい。独りでいよう。

    しかし、その独りとは、孤独なる独りではなかった。
    独りで静かに佇んで居られる人は、どうも深い人なのではないだろうか。
    そんな話になってきた。

    私が合唱団で出会った二人の老境に達観した紳士は、
    まさにそうしたいぶし銀のような渋く落ち着いた輝きを有していた。
    話したいな。知り合いになりたいな。
    こう切に想っている私に対して、
    相手の人もそう想っていてくれたようだ。

    肺がんになった話を淡々と語ったIさんは、
    S高校の山岳部で、飯豊を縦横無尽に駆け回った人だった。
    長年歌を歌い続け、36年前、私は彼とメサイアで出会っている。
    彼のその落ち着いた泰然自若とした姿は、
    何とも惚れ惚れする姿だった。82歳。

    Kさんは、真っ白な髭とチャーミングな瞳の紳士だった。
    篠笛の達人であり、フルートも吹かれると言う。
    彼はT山岳会の猛者であり、冬の飯豊を縦走した人だった。
    山の話をすると、二人の話は尽きなかった。
    同じ飯豊で育てられた山男だった。78歳?

    二人の共通点は、やっぱり山だった。
    そこで、本当に青春の一時代を培い、そこに浸り、そこで生きた。
    年間山に入っている日数は半端ではなかった。
    1から2カ月間は山に居る。
    二王子岳を2時間15分で登ったと言う。

    さてさて、二人の共通点は何かと言うと、
    やっぱり山を登り続けた人だということだ。
    あの大自然と向き合い、語り合い、
    静かにその山の気を身体で感じて、
    味わっていた人だということだ。

    その味わった山の気は、身体に沁みる。
    その気がその人の根幹の魂と成り、
    その人を、その人とする。
    山で育てられた人とは、
    山のような人となる。

    そんな茫洋さとでも言うのか、
    がらんどうの爽やかさとでも言うのか、
    なにものにもこだわらず、鷹揚に生きていると言うのか。
    ただ、淡々と、その場で、独りで佇んでいる言うのだろうか、
    そんな人は、衆人の中で、やっぱり独り光を放っている。

    自然を先生にして生きて来た人は、
    自然から学んでいるので、
    人は時にはどうでもいい存在として感じられる人なんだ。
    いや、言い方が少し間違っているようだ。
    自然が在るようにして、自分もありたいと願って生きて来た人は、
    何だか人には、底抜けに優しい人となる。

    そして、何よりも独りの輝きを持つ人であり、
    静かに語る一言一言が「ことは」としての深さと意味とを持っている。

    ああ、こういう人に、私はなりたかったんだなぁという、
    そんな憧れの人でもあった。

    「私たちは、樹を植えて来ましたね。」
    「そうやって、樹を植えながら、
     私たち、樹からたくさんのことを教えられたようですね。」
    「そうだね」と、Sさん。
    「そして、そのおかげでたくさんの素敵な人たちと出会いましたね」
    「そうだったね」
    「樹を植えて、いかったですね」
    「そうだね」
    「もし、樹を植えていなかったら、私とSさんは出会っていません」
    「不思議だねぇ」

    「前人植樹 後人涼」
    何だかここまで生きてみると、
    これしかなかったなぁと言う気もしてくるものだ。

    私は、どうにもならない生き方ばかりだったが、
    「山に登っていてよかった」と想い、
    「樹を植えられてよかった」と想っている。

    では、独りを楽しみつつも、何を終わりに向かって遺そうか。
    それもやっぱり「ことば」と「たね」だと、
    そう想えるようになった。

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