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from: クマドンさん
2018/10/15 05:37:12
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スイミングのマスター Mさん。
スイム・マスターは、おっかない鬼コーチのMさんだ。
女性・70代前半だと想う。
いつも真剣で、瞳がぎらぎらと輝いている。
久しぶりのコーチングだった。
まず、平泳ぎだ。
独り独りを泳がせる。
そして、自分は水中に潜り、
じっと平泳ぎの足の動きを見ている。
「何をやってんだ」と、止められる。
私は、列の一番後ろを泳ぐことにしている。
そうすると、彼女からとくさん叱られ、教えてもらえるからだった。
「膝を真下にする」
「力を入れない。すーっと曲げる」
またまた、禅問答だった。
私の長年の癖がある。
それは、膝が開いてから、蹴り足に入ることだった。
私は、それでいいと思っていたし、
四泳法では最も得意な泳ぎが平泳ぎだった。
だから、平泳ぎでは、叱られることはないだろうとたかをくくっていた。
そこが、実は問題なんだ。
「みんなには、基本のきれいな泳ぎを習得してもらいたい」
この一言に尽きた。
私の全く我流の背泳ぎをこてんぱんに、粉微塵にしたように、
私の得意とする平泳ぎも、こてんぱんにやっつけてしまおうと言うのだ。
「脱力って、力を抜くってことじゃないんだよ」
またまた、深い深い問いだった。
「では・・・どうするんだ」と、考えて泳いでいると叱られる。
厳しい声だけでなく、とうとう私の両足をつかまれてしまった。
「力を抜け。力を抜くんだ」
またまた、私はカオスのどつぼだ。
身体がそのことを習得するまで、
私は、そのことが出来ない落ちこぼれの私だった。
すっかりとそんな私の戸惑いを見抜き、私には特に厳しくする彼女。
私は、いつしか、本当に、これだけ厳しい口調で、両足をつかまれても、
何だか涙が出るくらい、リスペクトしている自分を発見した。
「この人は、本物だ。」
「この人は、本気になって私を教えようとしている」
「もし、私が強い自我によって、反発していたらどうだろう・・・」
「でも、私はすっかり敬服し、全身を目と耳にして、そうなろうとしている」
「素直な人しか、伸びないとは、こういうことだ」
次のバタフライの足の動きも、目から鱗だったな。
「膝を曲げるな。腿の付け根からそっと動かすんだよ」だった。
私のバタフライのドルフィンキックのイメージをぶち壊した。
そこに留まっている内は、絶対に伸びない。美しく泳げない。
「だから、そんな泳ぎ方を忘れて、こう泳ぎなさい」と、徹底される。
私は、水の中に居ながら、心がぽかぽか温かい気がした。
この人は、達人なんだ。
それは、スイムのマスターでもあるが、
コーチングのマスターでもあった。
そのマスターとしての熱い想いと生徒に対する愛とが、伝わる。
本気で、この落ちこぼれの私を何とかしようとしてくれる。
強い口調で指導するのは、そこが私のステップアップの肝だからだ。
まさに、禅の公案だった。
私は、教室が終わっても、独り黙々と泳いでいる。
それは、彼女の言葉をこの身体に習得させるためである。
そうしながら、私自身の泳ぎが変化することも感じている。
マスターの教えを体感し、体現する。
これぞまさに生きるの修業ではないだろうか。
その実践をプールで叱られながら、私は学んでいる。
何事も身体での習得なんだと。-
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