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from: クマドンさん
2019/01/16 05:28:31
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「横道世之介」の物語
映画「横道世之介」を観た。
長い長い物語だったので、ちょこちょこと3回ぐらいに分けて観た。
世之介は、実に素敵な男だった。
長崎から法政大学に入学し、東京での貧乏生活。
少々時代は違っているが、
あのミニスカートは被っているところもある。
実にぶきっちょで、何ともユーモラスな男だ。
友達をしつこく造り、その男に付きまとう。
相手の気持ちには忖度は無く、それでも愛すべき彼だった。
だから、世之介のことを思い出すと、
それはいつも笑いだった。
祥子ちゃんという大富豪の娘が世之介に恋をした。
本気で本気で恋をしている。
世之介が長崎に帰省する時、
先乗りで長崎の実家に居る。
世之介の同級生たちと、一緒になって海で遊ぶ。
いつかいつかキスをしよう。
二人にはなかなかそのタイミングが訪れない。
ある夜、砂浜で、今だと思っていたら・・・・。
ベトナムからのボートピープルだった。
雪のクリスマスの夜もよかったな。
ケンタッキーを用意して、西友からクリスマス飾りのモールを買って、
彼女の訪れを待っている。
炬燵に入って、腹這いになり、彼女は「オスカル」の絵を描いた。
包装紙の裏だった。
そして、雪が降っていて、
既に真っ白に積もっていることを世之介が発見する。
二人で雪の上で、遊ぶ。遊ぶ。
沢山の足跡が雪の上に遺される。
天上から真っ直ぐに見降ろされた二人は、キスをする。
世之介が、隣の写真家の影響でカメラを買った。
小さなそのカメラは、彼の宝物だ。
最初の一本のフイルムに、彼は、彼女を記録した。
それから、片っ端から、出会ったものを撮り始めた。
ピンボケの被写体の不明な写真もあった。
彼女は、世之介と約束をした。
「この写真ができたら、一番初めに私に見せていただけますか」と。
その約束は、世之介が亡くなってから、果たされた。
ホームから飛び降りて自殺する若者が居た、
その現場に居合わせた二人の青年がホームから線路に降りて、助けようとした。
しかし、そこに走り込んで来た電車に三人は刎ねられ、
轢死したニュースが、昔、あった気がする。
その三人の中の1人が、世之介だった。
最期も、ぶきっちょな世之介らしい最期だった。
そのニュースを、「午後5時・・・」と、
世之介が大好きだった彼女が、ラジオのパーソナリティーとして読む。
世之介の撮った数枚の写真が、
すっかりと大人になり、アフリカから帰って来た祥子ちゃんに届く。
世之介の母親が送ったものだった。
包み紙はあの「オスカル」だった。
その写真が、世之介の最期の日の、撮影の様子を教えてくれた。
世之介は、笑顔で、子供たちや、お巡りさんや、犬を撮っていた。
きっと、その日の午後5時頃、彼は、電車に轢かれた。
世之介が、心に遺る。
今も、彼のことを想うと、涙が溢れる。
何と言う空気感。何という間合。何というおかしさかな。
沖田修一という監督・脚本家に、心から敬意を表する。
見事に、実に、等身大に、世之介が生きていた。
母親の言葉が、最後に流れる。
「私は、世之介が私の息子だったことが、一番幸せでした」と。
一昨日の朗読の会だった。
その中で、耳の聴こえないセネガルの少女が、
ビートルズのカセットテープを手にして声を出して泣いた話だった。
「誰の心の中にも音楽は響いている」だな。
黒い水を求めて隣の国の王様が攻めて来た。
戦には確かにこの国の王は勝利したが、
あの豊かで芳醇な葡萄酒をもう二度と飲むことの幸福を味わえなかった。
それは、文字を読めない老いた農夫が、矢に差されて亡くなったためだった。
明日、両腕を切断するという若き将校。
最期の願いとして、美しい女の手をその手で握りたい。
その役割を軍医から言われた芸伎の女が、一瞬でその男に恋をした。
その男も、深く深く恋をした。しかし、軍医は二度と会わせなかった。
ある日、その女を訪ねる広告が新聞に出ていた。その男の大将の父だった。
女は旅先から車を飛ばして病院へ急いだ。遅かった。
女は、自分の本気の恋を証明するために、小指を付け根で鋏で切り落とした。
真実を生きる。
あるがままで生きる。
人として生きる。
その姿を描く。顕わにする。
私も、いつかそうした物語を描きたいと思った。
そして、死ぬまでには、一つだけでも、
そんな物語をこの世に遺したいと願っている。-
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