またまた、アルビがやってくれた。
首位の山形に、後半80分までに1対3での劣勢だった。
確かに、前半はただの球の蹴り合い。
単調な攻めで、いらいらとさせられた。
しかし、シルビーニョと、フランシスだ。
二人が入ることで、本当に試合がしまった。
緊張感が伝わって来た。
静かなんだが、何かぞくぞくとする空気感が伝わった。

そして、2点を返した。
3対3のドローでの試合終了。
山形の選手たちは、ピッチで崩れ落ちた。
何と言うかな・・・・。
これが、サッカーの奇跡でもあるんだな。

3年前のクラブワールドカップの時もそうだった。
後半に入ってから、空気感が一変した。
あのスタジアムに、何かぞくっとする緊張感が顕れた。
それは、レアルに対する鹿島の本気度だった。
柴崎が奇跡を起こした。
渡辺がゴールした。そして、あのポーズだ。

そこで目が覚めたレアルの選手たちは、
ボールのスピードを変えた。
本気に向かった。ある意味、それまではなめてかかっていた。
その奇跡を、私は帰りの新幹線の時刻を気にしながら、
現場で味わった。

奇跡は、存在する。
実は、この世界そのものは、奇跡に充ち溢れているんだ。
ただし、その奇跡の場所に行ったなら、出会えるということ。
それは、映像を通して感じられるものでは絶対に無かった。
その奇跡の空気感だな。
その奇跡の空気感によって伝わって来るものが必ず存在する。
そのためには、その奇跡と同じ空気の中に居なくてはならない。
奇跡と出会う人とは、奇跡に出会いに行った人のことだ。

木曜日の夜、「器」での奇跡のコンサートだった。
ギター　笹島明夫さん、ベース　重松忠男さん、ボーカル　ふくまこづえさん
Jazzギターをやっている長男のためにと、出かけたコンサートだった。
翌日の仕事を考えて、平日の夜のお出かけをセーブしていた私。
しかし、このコンサート、値千金の奇跡のコンサートだった。

言葉では、説明しても、その音は絶対に伝わらないので、何も言わない。
本当に一音で、涙が溢れた。
そして、その柔らかないぶし銀のギターの音色に、確かに心を奪われた。
ベースの音は、音を楽しみ、音に遊ぶ、大人の粋な音でもあった。
「大人」「深さ」「成熟」「達観」
言葉とは、何も顕せない不自由な道具なのかもしれない。
ただ、音を感じた。人生を感じた。
そして、その音は、今は、もう、どこにも存在はしていない。

「器」に行った。私と長男は、その奇跡を感じた。
彼は、終わってから笹島さんと、長々と語り合っていた。
行ってよかったなぁ。
私は、ふくまさんの追っかけになることを、心に決めた。
実に実に素敵な大人の女性ボーカルだった。

深くに在る自分自身は、その奇跡をちゃんと知っている。
その奇跡を感じさせる相手も、その自分自身だからだ。
私の自分自身と、相手の自分自身とは、同じ自分自身だ。

奇跡と出会うと、「これだ」と、感ずる。
奇跡とは、既に私の奥深くに存在し続けているもの。
ただし、その自分自身の奇跡を奇跡と自覚しないで生きている。
本当は、私が出会わねばならない相手は、
その私の奥深くに在る、自分自身だった。

アルビにも、鹿島にも、この深くの自分自身が感動した。
あのJaZZの響きは、正に、自分自身が求める音だった。
その自分自身のままに生きる。
それが、日々を生きるということではないだろうか。

「人生フルーツ」
まだまだそこまで、私は熟してはいないようだ。
今日、菩提寺山にハイキングする。
帰りは温泉に入りたい。