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from: クマドンさん
2019/10/16 05:46:01
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衝撃の映画だ「joker」は。
映画「joker」の話。
とにかく何というのか、ここまで描き切ったかの感動だった。
アーサーがいい。
彼に天が与えたその過酷過ぎる、残酷過ぎる運命がある。
人の好い、精神を病み、孤独で、それでいて人には優しい中年男。
彼は、ピエロを演じ、いつか必ずコメディアンになりたいという夢を持っている。
老いた母親と安いアパートでの貧しい二人暮らし。
収入が少ないために、市からの支援を受けている。
突然笑いだして止まらないと言う病を与えられ、
そのために7種類もの薬を服用しなくてはならない身体だ。
同情すべきアーサーだ。
彼はゴッサムシティーの片隅で生きる。
それも、かなり苦労しながら必死で仕事にありつき生きている。
楽しみは、母親と二人でテレビを観ること。
それも、彼の憧れの司会者がいるショー番組だ。
彼は、そこでギャグを学ぶ。
思いついたギャグは、彼のぼろぼろのネタ帳に書き留める。
みんな笑えないギャグばかりだ。
街の不良たちに襲われ、暴行を受ける。
徹底的にやられても無抵抗だ。
ある時、小児病棟に慰問に行った。ゴトンと拳銃が落ちる。
それは、友達が護身用にと渡してクレタ拳銃だった。
彼は、そのことで仕事を失う。
大好きだったピエロの仕事を奪われてしまった。無職だ。
彼は、私だと思う。
何だかそんなアーサーを、アーサーのすぐ傍で体験しているような気になった。
真実が真実のまま描かれれば描かれるほど、
それは映画の中の単なる物語に過ぎないが、
その彼の人生を、何だか自分自身のことのように深く深くで感じ過ぎ、
ほっておけなくなってしまうむ。
同化すると言うのではないが、共感し、同感している私が確かに座っていた。
そして、創り手としての作者の視点だ。
jokerは、バットマンに立ち向かった稀代希な悪人だ。
それも、ピエロの化粧で、ユーモアがあり、愉快な動きで、とてつもなく残酷だ。
彼は、どうしてjokerになったのか。
そのために、この作品は企画されたのだと、思う。
しかし、バットマンの敵としてのjokerであるが、
そのjokerではなく、ここに独りのjoker在りの物語となっている。
そのことの凄さ、偉大さだなぁと、
途中から魅せられたままとなり、言葉を失い、その彼の行動に圧倒され続けた。
これでもか。これでもか。これでもか。
次々に繰り出される激烈な殺人に、
何だか度肝を抜かれて、驚き、黙る。
それは、アーサーへの共感、同感でありながら、
jokerへの共感、同感へと変化する?
いや、逮捕され、破壊されたパトカーから引きずり出されたjokerは、
暴徒と化し、暴力と略奪と放火を続ける無数のjokerたちの、
いつしか教祖と祭り上げられている。
そのリアルが、心底恐怖として湧き上がって来た。
社会が悪いから。世の中が不公平だから。格差があるから。
というどうにもならない状況だから、暴力で立ち上がったのではない。
しかし、このjokerたちが標的にし、プロテストしている相手は、
一握りの大金持ちであったり、富裕なるパーテーに明け暮れるセレブだったりする。
片やスラム街の安アパートで、貧困な生活に苦しんでいる人がいて、
同じゴッサムの街で大豪邸に暮らす一握りの人たちがいる。
その人たちは、この貧しい人たちの労働を搾取し、その富と権力を手に入れた。
つまり、アーサーの立ち位置で、このゴッサムでの人生を味わえば、
自分の中のどこかでアーサーであり、jokerである自分に気付く。
暴力・暴動でプロテストする衝動・本能。
その闘いが、もし正義にすり替えられたら、
この暴動・暴力・略奪・放火は、ありだと言えるのかの「問い」だった。
アーサーは、私だ。
jokerも、私だ。
しかし、そのアーサーをこの世に登場させ、
悲惨なる運命と過酷なる数々の試練によって、
アーサーが、jokerとなることがあり、
その二人は、同一な独りなのだと言う事実。
私は、この物語には、底知れない恐ろしさを感じた。
それは、きっと、アーサーは、人間であるからだ。
もし、私が彼と同じ運命・宿命を天から与えられていたとしたらどうだろうか。
不可抗力であろうとも、自分の命を守るために、暴漢に拳銃を向けないだろうか。
それでも襲って来る相手に対しては、引き金を引かないだろうか。
たった一丁の拳銃で、彼の人生は一変させられた。
しかし、そうした不可抗力によって、
犯罪者となる危険は誰にでもあるのではないか。
映画「joker」は、そんな人間の闇を描き切ってしまった。
黒澤が、溝渕が、描き切ったように、
このアーサーからは、本物の人間の匂いが匂い立っていた。
こうやって独りの人間を描き切れるものなのか。
そのことの驚きも大きな映画だった。-
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