身体のことを考える。
いつか必ず朽ちるこの身体だ。
しかし、今は、この身体のおかげさまで生かされている。
身体は、まだまだ生きますよと言ってくれる。
だから、大事にしたい。
この身体と御同行で生きて行きたい。
そんな気持ちで、身体のことを考え、見つめるようになった。

昨日も会談で、スリッパがひっかかり倒れそうになった。
ああ、弱っているなぁの実感だった。
走ろうと言う気持ちが薄れた。
ハードなトレーニングに気持ちが向かない。
ああ、衰えているなぁの実感だった。
しかし、ヨガは続いている。
それは、単にこの身体のためではないということを感じているからだ。

ヨガマスターのMさんのことを、
私は、深く深くリスペクトしている。
彼女はまだ30代前半の素敵な女性だ。
私は、彼女がnoisumの人であったことで、
彼女のレッスンを受けることに決めた。
そして、初めてのヨガ体験を通して、
私は、身体を学んだような気がしいてる。

ヨガは、身体の気付きだった。
ストレッチでもあるだろうが、
単にそのストレッチだけでない、
何かの精神性を感じている。
それは、心と思いと身体との一体感のようなものかも知れない。

柔らかな動き。しなやかな動き。耐える動き。
それは、動ではなく、静だった。
止まる。伸ばす。曲げる。捻る。
日常には無いそうした身体の動き一つ一つを通して、
私は、少々の難儀さを堪えつつ、身体と出会う。

だから、かっては毎朝のようにして走っていた私は、
今は、毎朝のようにしてヨガを行う。
身体が目覚め、心と思いや考えがしゃきっとするから気持ちよい。
身体が、だからヨガを求める。
気持ちよさを求める。
それに、ただ従ったているだけである。

そして、出会ったことが、この身体で感ずる気持ちよさだった。
私は、気持ちよいことは進んですることにした。
そして、反対に、気持ちが乗らない、嫌だなあと感ずることは、
避けて通ることにした。
嫌なことは、することはない。
嫌な人とは、会うことはない。
回りくどく、〇〇だから仕方ないは、やめることにした。
せっかくリタイアしたのに、
組織や人に縛られることもないと考えるからだ。
ある意味、世捨て人になった。いや、世から捨てられた人となった。

それは、きっと身体が出した答えなのだと想っている。
身体が気持ちよいことだけをする。
身体に訊いて答えを出す。
身体とは、いつもいつも対話する。
身体から語られる声に従い、自らに制動をかける。
酒は飲むが、無理はしない。
身体と共に生きることを、年齢相応の養生訓にしている。

10年前には、全く考えられないことだった。
人は、自然なんだと気付いた。
私は、自然に学ぶことをしてきた。
その自然は、私の前にあるものと想ってばかりいた。
しかし、ある日、「何だ、わたしそのものが自然ではないか」と知った。
自然のことは、この自然である身体自身が知っている。
私がずっとずっと知りたかった意味を、
この身体自身が生きている。

不思議だなぁと、感じた。
きっと深いとは、この自然のあるがままの感覚なのではないだろうか。
そのあるがままに出会うために、
人は、身体と向き合い、対話する必要があるようだ。
気持ちよさとは、その自然のなりゆきの応えなのではないだろうか。
どう生きたらよいのかと迷ったら、
この自然なる身体に訊けばよい。
その応えをきっと「気持ちよさ」で教えてくれるはすだ。

だから、私は、身体が喜ぶことをしたい。
欲によって、損得によって、頭でっかちによって、酒によって、
身体を苦しめ、弱らせ、悩ませることはしないようにはしたいものだと、
今は、想っている。

身体を気持ちよく生きる。
これは、健康や寿命とは、また違うものだ。
この二つは、ある意味ではその人の宿命でもある。
先のことは誰も言えない。誰も分からない。
でも、今日は少なくとも生きている。生かされている。
ならば、今日は、身体を大事に想って生きよう。
今日は、心も身体も気持ちよく生きよう。ただ、それだけだ。

昨日なんて、どこにも存在しない。
明日は、来るのかどうかも分からない。
身体と共に在る、今、ここ、が私の生きる場所と時間なんだな。
そんな一日になりたいと、いつも願ってこの朝を迎えている。