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  • from: クマドンさん

    2020年02月23日 08時10分35秒

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    渡り蟹のパスタの物語

    いろいろとあった。
    だから、書きたいことだけ、ここに書く。
    本当はいろいろとあったことも、
    本質的には同じものからの輝きではないかとは思う。
    それは、私自身の生き方そのものだから、
    1つとは、この私なんだ。

    さて、「渡り蟹パスタ」のことだ。
    レシピが変わり、味が一変し、混迷を極めたこのパスタだった。
    私は、食べる度に、その時の気持ちを紙ナプキンに綴った。
    それは、この店の、このパスタのことを愛するが故だ。
    酷評したこともある。
    ある意味、クレーマーなのかも知れない。
    しかし、このお店の女性の人たちは、
    密かに私のことを覚えて、応援していてくれた。

    金曜日の夜、お店に入ったら、本当に笑顔で迎えられた。
    実は、先回食べた後で、私は、何も書かず、「ボーノ」と言って帰った。
    そのことがお店で話題になって、みんなで喜んだというのだった。
    「俺って、何者?」
    実は、いつの間にか私は、そのお店では有名人となっていたのだ。

    「私は、その話を聴いて、涙が出そうでした」と、
    20代前半の可愛い女性に言われて、
    「へぇ、そんなにして、私の意見を受け止めていてくれたのか」の驚きだったる

    この私と渡り蟹との闘いは、確か、1年以上たっていると思う。
    その間、私は、映画の度にこの店を訪れ、渡り蟹を頼んだ。
    そして、失望し、がっくりとして、時には、怒りが込み上げて来た。
    それでも、また、映画の前には、この店に来て、渡り蟹を食べる。

    先回のことだ。
    「うん、これは・・・」と、かってのあの味に近づいたことを感じた。
    「あれっ、違うぞ。何だか深いぞ・・・」の気付きだった。
    そして、私は、思った。
    「闘いは、もうここまでしよう。私は、この味を、受け入れよう。」と。
    それは、しかし、パーフェクトな収束宣言ではなく、
    その味のあるラインに達したことへの評価としての収束だった。

    しかし、今回は違った。
    ひと口そのパスタを口にした時、その味は深く深く・・・・。
    私は思わず、唸って、うなだれた。
    「やっと、この味に出会えた・・・。」
    「いや、この味は、ある意味で究極を超えた味わいになっている。」
    「あれだけ求め続けた味を、その味を超えて、ここまでの味に進化させた。」
    私は、黙って、パスタを噛みしめた。
    確かに、本物は語りかけてくれるのだ。
    私は、久しぶりの感動を味わった。

    「とうとう、この味に到達しましたね」の讃美だった。
    私は、彼女に笑顔で言った。
    「ボーノ。ボーノ。この味だよ。やっと戻ったね。」と。
    彼女の笑顔に、私と同じ渡り蟹への深い深い愛を感じた。
    私は、紙ナプキンに「シェフ殿」と手紙をしたためた。
    それは、感動への感謝の手紙だった。

    たかがパスタ一皿にと笑わば笑え。
    しかし、やむにやまれぬそれが私の渡り蟹への愛だった。
    愛するものは、愛するもののままでいて欲しい。
    そして、いつも深く深くの味わいで語りかけていて欲しい。
    それが、この店を訪る私の心からの願いだった。
    しかし、その味が変わり、そのパスタからあの深い語りが消えた。
    私は、諦められず、何とかその愛するものに戻って欲しいと、
    切々と手紙をしたためた。

    そして、金曜日の夜、もっと素晴らしく美しいものとなって、
    私の前に再び顕れてくれた。
    去って行った恋人が、再び不意に戻って来てくれたようだった。
    私は感極まって、強く強くその恋人を抱きしめた。
    心から愛おしさがあふれだすことをとめることはできなかった。

    その味は、スターウォーズを観ている間も、身体にあった。
    深い味とは、忘れられない愛する人なのだ。
    レジの前で、彼女が笑顔で立っていた。
    お互いに見つめ合い、何とも言えない喜びを感じていた。
    「すみません、よかったらお名前を聴かせてください。」
    寅さんならば、「名乗るほどの・・・」と黙って去るだろう。
    しかし、私は、自分の名前をその人に伝えた。

    その店で、また渡り蟹を頼むとき、
    名前で応えられたら、本望だな。

    本当に素敵なお店だ。
    たった独りのお客の我がままに、ここまで試行錯誤で応えてくれた。
    そして、究極の渡り蟹のパスタが、完成した。
    しかし、これも途上だ。
    さらなる進化を、私は期待している。グラッチェ。

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