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  • from: クマドンさん

    2020年03月16日 05時22分34秒

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    ちいさな幸せは至る所にある

    さてさて、映画みたいな話だった。

    TETTOのカウンターだ。
    いつものようにほろ酔いでワインを飲んだ。
    その隣に45歳の男性Aさんが、同じく独りで赤ワインだった。
    私はマスターのBさんと話し、笑っていた。
    そこへ、托鉢の坊様がやって来たそうだ。
    私は、何も気づかずに、ワインのおかわりをしていた。

    「ちいさな幸せは至る所に」

    これがこの店の小さなパンフに記されてあった。
    「いい言葉だなぁ」
    「今の私には、この言葉、よく分かるなぁ」
    と、そのイタリア語を覚えようとしていた時、
    ひょんなことから、隣のAさんとの会話になった。

    「今日は、子どもの卒業式でした」
    「はい、一度中退して、この学校に入っての卒業でした」
    「これから、万代で久しぶりに家族で会ってお祝いをします」
    「実は、私は、離婚したんです」
    「東京での独り暮らしでした」
    「ベランダではプランタで花を育てていました」
    「花は、いいですね。黙って私の愚痴を聴いてくれました」

    「実は、私は、妻と再婚したいのです」
    「私は、妻のことが大好きなんです」
    「そのことが、分かりました」
    「しかし、もう、遅いようです」

    初対面の私に、そんな話だった。

    私は、コップの話をした。
    「ここにコップがあります。その中に水が入っています」
    「さて、その水を動かそうとしたらどうしますか」
    「と、そこで、人はどうしよう、こうしてはどうかと、考えます」
    「でもね、頭で考えるだけでは、どつぼにはまるだけ」
    「何も、このコップの水に変化はありません」

    「・・・・・。」

    「身体で考える。ただ、はたらきあるのみです」
    「ただ、そのコップを手に取って、飲めばいいんです」
    「その気持ちを伝えたいなら、行動あるのみですよ」

    「・・・・。」

    「さっき、花屋の女の子に言われました」
    「男の人が花束を持って街中を歩いているのがかっこいいんだと」
    「奥さんに、その気持ちを伝えたらどうですか」
    「本町の花屋は、直ぐにゴージャスな花束を造ってくれますよ」

    「クマさん、分かりました。行ってみます」
    「私、花束を持って、萬代橋を渡ります」

    彼は、それから間もなく、席を立ち、お勘定をして、
    颯爽と上フルの街中に出て行った。

    カウンターに残った私は、「もう一杯」と、お代りを頼んだ。
    その日の8杯目のワインだった。

    私とマスターと一緒に働く私の憧れのCさんは、
    何だか不思議な余韻を黙って味わっていた。

    すると、私には、その後の彼の行動が、映像として浮かんで来るのだった。
    私は、その光景を、映画のように、言葉で語った。
    それは、一つの愛の再生の物語だった。
    その前に、深く深くの謝罪と懺悔の物語だった。

    「ちいさな幸せは至る所にある」
    「ほんとだね」

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