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  • from: クマドンさん

    2020年03月25日 06時05分17秒

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    死者となったお母さん

    ずっと書いていなかった。
    それは、ずっとお酒を飲んで、起きられなかったからだ。
    それだけ、いろいろとあった。
    書きたいことが山ほどあった。
    しかし、書く時間が確保されなかった。
    これは、私の呼吸だ。生活だ。命だ。
    書けない日々は、やっぱり少し辛かった。

    日曜日、Aさんのお母さんのお通夜だった。
    Aさんは、舞踏家である。
    そして、演劇にもかかわった人だ。
    何と懐かしい人たちがたくさん集まってくれたことだろう。

    95歳の通夜に、70席は多いのでは・・・と思っていた。
    ところが、満席だった。
    驚いたなぁ。
    そして、感動したなぁ。
    みんなAさんのことを想い、彼女のお母さんを想い、
    こうしてコロナの中を駆けつけてくれた人たちだった。

    その人たちとは、この私も大きなかかわりがある人たちだ。
    それは、劇団を立ち上げ、共に何年間も演劇の公演をした人たちだからだ。
    同じ釜の飯を食うことは、大事なことだ。
    つまり、若い時に何をしてきたか。
    どんなことに夢中になっいたか。
    そのことが、棺桶の蓋となる。

    棺桶の中で眠っている時、集まってくれる人が心の友だ。
    この通夜を見て、改めて、そのことが思い出された。
    同志と呼べる人たちだった。
    本当に、あの時に、出会えてよかった。
    そして、劇を上演してよかったと、何だか私までが幸せになった。

    お母さんは、四日間自宅に安置されていた。
    眠るように、微笑んでいるように、安らかに安堵したような顔だった。
    自宅のおかげで、町内のお年寄りは弔問に来ることができた。
    自宅に長く居ることで、Aさんの心の整理もついたようだ。
    お別れには、時間をかけるといい。
    二人は、ここで心行くまで語り合ったはずだ。

    納棺の儀では、お母さんにお化粧をしてもらった。
    みるみる若返り、美しくなっていく。
    母の時もそうだったが、生前よりも若くきれいになっての旅立ちだった。
    ほれぼれとそのお顔を見ていた。

    しかし、この身体には、お母さんがいないのだと、私とAさんはいつも感じた。
    この部屋のどこかで、きっとAさんのことを心配して、見守っている。
    これからは、この家で、Aさんは独り暮らしだ。
    どれだけお母さんは、心配なことと思われる。
    だから、お母さんは、いつもいつもAさんの傍に居てくれる。

    身体がある時は、その身体があるところにお母さんは居た。
    しかし、それは身体に限定されたお母さんでもあった。
    だから、今は、身体を離れて、自由となった。
    ならば、何時でもここに居られる。
    Aさんと共に生きられる。
    死者とは、そうやって生者のAさんのことを守り続ける。

    Aさんは、呼びかけるだけでいい。
    時には、合掌して祈ればいい。
    語り掛けたら、いつものように笑顔のままで、そこに居る。
    それを信じられるかどうかなんだな。

    お母さんが遠いところに旅だったとは、思ってもいない。
    それは、親しくしてもらった私にとってもそうだった。
    お母さんは、いつでも、ここに居る。
    Aさんのお宅は、私の家の真正面。
    今も、ここからAさんの庭を見下ろしている。
    木蓮の蕾が白く輝く。

    生者としてのお母さんは居ない。
    しかし、死者としてのお母さんは、ずっとここに居る。
    実は、そのことに気付いたら、心も魂も楽になるものだ。
    そのことを、私は、父と母と叔母に教えられた。
    父も母も叔母も、私には生きている。
    私が生きている間、私の想いの中で、ずっと生きていてくれる。
    私は、それを信じている。

    だから、独りにはならない。
    それは、Aさんも同じだった。

    お母さんのご冥福を心から祈っている。

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