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from: クマドンさん
2020/04/14 07:05:10
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カミュ「ペスト」の再放送
「100分で名著」で、カミュの「ペスト」の特集を再放送している。
いやはや、驚いた。というよりか、不思議な気がした。
「ペスト」が書かれたのは、第二次世界大戦の頃だと言う。
その頃、実存主義であった哲学者でもあり作家のカミュは、
現在世界中で感染が拡大されているコロナウイルスのパンディメントを、
その時に既に予言しているような感じだった。
それは、アルジェリアの1つの小さな町で起った出来事だった。
ネズミの大量死に気付く頃、
人々は次々と高熱を発し、苦しみ、最期は死を迎える病に侵された。
若き医師である主人公は、その病状や死に至る経過を調査するうちに、
これはペストではないかと疑いを抱き始める。
ところが当局は、これをペストと断定することで、
どれだけ経済的な損害を受け、町の人たちの生活が滞り、
不安を煽り、心理的に恐怖に陥れてしまうかの予想を感じていた。
だから、この病を「ペスト菌」による疫病・感染病とは認めなかった。
しかし、死者はどんどん増え続け、人々の不安が高まっていく中で、
これ以上の感染拡大を防ぐために、都市封鎖が行われた。
ところが、町の人たちには、ペストへの危機感が乏しく、
仕事をしなくてもいい。昼間から酒を飲める。
何とこの封鎖された状況を楽しんでいたそうだ。
第1回目の放送は、ここまでの話だった。
私は、この本のことを知っていた。
しかし、昨夜私の数多の蔵書を探したが、
残念ながら「ペスト」は我が家には存在しなかった。
しかし、ここには「ペスト」に感染させられ、拡散している人々の物語が、
とてもとてもリアルに書かれていることを初めて知った。
若かった頃、ペストは他人事。昔あっただけの話。と、考えていた。
ペストにスペイン風邪と、ヨーロッパに蔓延し、多くの死者をだした疫病は、
今は、昔の話だとたかをくくっていた。
それが、この現実だ。
「非常事態宣言」は、次々と各県知事が発表している。
まだ、都市封鎖は無いが、この物語が予言するような状況は続いている。
私は、こんな過去に書かれている物語がリアルタイムに進んでいることに、
ある意味驚きを感じ、恐れすら感じている。
今、それに加えてバッタの大群がアフリカから中国にまで迫ろうとしている。
畑の作物は全て食い荒らされ、その巨大な群れが過ぎ去った後は、
草も生えない状況だそうだ。
鴨長明「方丈記」ではないが、
実は、この世の無常が、こうした疫病や自然災害を通して、人類を襲っている。
明日をも知れない命だった。
自分の命のことすらままならない現実だった。
感染した家族には死を迎える最期にも会えず、
骨になってからの再会だった。
亡くなった人たちは、「そんなはずはない」「どうして私が」だったろう。
どんなにか無念だったことか。どんなにか悔しかったことか。
突然、人生を絶たれる。明日が来ない。家族とのお別れだ。
そして、その収束の目途も立たない。
これからどこまでこの感染は拡大するのか。
感染者の数が増大する。
その中の1人とならないという保証はだれにもなかった。
それが、人の命の現実だ。
確かになるものは無い。頼れるものは無い。絶対というものは無い。
これからどうなって行くかの不安ばかりだ。
しかし、Sさんと、今は、この話に行き着いてしまう。
「今こそ、信仰を学ぶ時ですね」
「今必要なことは、宗教ではないでしょうか」だった。
仏陀は、人の命の儚さと無常とを感じて、王城を出て、修業の旅をした。
こんな時に人に出来ることは、「祈る」ことであり、「信ずる」ことではないか。
私は、クリスチャンとして日々、祈っている。
これ以上の感染の拡大が無いことと、コロナウイルスの一日も早い収束を。
私にできることは、「祈る」ことだ。
そして、不思議なことだが、現在、仕事を休んで自宅待機している。
そして、独りで考えることが多くなっている。
カミュの「ペスト」ではないが、私には何も為す術は無かった。
自粛して、自宅に籠っていることだけだ。
しかし、人は、こんなウイルスが世界中で蔓延するとは、
誰が予想したことだろう。
それは、あの大震災も同じだった。
人が想定するのは、自分に都合がよく、得をできる範囲だけだ。
それ以上の想定をしたら、人は不安で生活することはできなくなる。
だから、忘れてはならないことは、「想定外が現実なんだ」ということだ。
自然とはそれ程恐ろしい脅威を持っているということ。
もっともっとそうした大自然に対して、
人は、謙虚に、畏れをもって生きるべきなのではないだろうか。
本当に「お金」が人を幸せにするのか。
経済を何よりも最優先にする現代の人たちの信仰に対する警鐘であると、
カミュは「ペスト」をそう考えたのではないだろうか。
その中で、人は、いかに生きるのか。
第2回目からの放送が楽しみだ。-
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