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  • from: クマさんさん

    2011年09月25日 12時10分12秒

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    無常慟哭

    無常慟哭。そんな言葉を映画を観ながら思い出した。
    「無常素描」を観た。淡々と悲惨な光景がずっとずっと続いていた。
    その瓦礫の山には、何もない更地には、廃墟となったビルたちには、
    津波が襲うほんの数秒前まで、人々の営みがあり、日々の生活が確かにあった。
    一瞬にして全てを飲みこみ、全てを持ち去ってしまった津波の脅威。
    今はまだそのままであり、人々の心もまだ復興には程遠い状況なのかもしれない。

    「クマさん、突然すとんと切られることほど恐ろしいことはないよ」と教えられた。
    心の準備も無く、お別れの予感も無く、ある日、ある瞬間から家族がこの世から消えてしまう。
    その時、この世に残された人たちの後悔と自責の念とは、はかりしれない奈落の闇なのかもしれない。
    「あの時、こうしてあげていたら」「私が代わってあげられたら」と、
    妻や子や、親しき友を失った人たちにとっては、
    その悲しみは一生消えることのない悲しみであると想う。

    残された人たちは、文字通り全てを失って茫然自失にそこで生きていた。
    しかし、日々刻々と生きて行くことをしなければならない人たちだ。
    人が生き抜くということは、死ぬことより苛酷で苦悩に満ちたものなのかもしれない。
    まず失意と悲しみの中から立ち上がり、
    目の前の悲惨な現状のどこからか手をつけて行かねばならないからだ。
    その力がその人たちには残されているのだろうか。

    農機具を失い、漁業のための船を失い、養殖のための施設を失った。
    その壮大な無を前にして、年寄りたちは廃業を決意した。
    これまでに何十年と苦労して積み重ねて来たものが、
    全て消えてしまった。その喪失感は、私には想像することすらできないものだ。
    家族が居ない。住む家が無い。財産もない。仕事もない。明日からの生きる当てがどこにもない。
    一人のお爺さんが瓦礫の片付けの途中で腰を降ろして慟哭した。
    まさにその泣く姿は無常慟哭だと想った。

    「死んだ人たちは、どこへ行ってしまったんだろうか」
    「死んだ人たちは、生きている人たちのことを今も見守り、励ましているのではないだろうか」
    「私たち生きている人たちは、死んだ人たちとのつながりを忘れてはならないのではないか」
    「死ぬとは、死なない人に変わることではないだろうか」
    「その子は、絶対に今も残されたお母さんのことを心配しているはずだ」
    「死んだら、またきっと会えるんだね」
    「死んだら終わりではなく、死んでから始まるものがあるんだよ」

    昨日、青空に眩しく輝く大きな雲を見ていた。
    すると雲は風により刻々と姿を変え、生まれては消えていた。
    それではそこに雲は無くなってしまったのかというとそうではないはずだ。
    雲を雲にしている因縁があったから、水蒸気が白く輝き、
    その因縁がなくなったから、ただ姿を変えただけだった。
    それは在るものであり、ある瞬間姿を現すものであり、
    因縁が消えて目に見えなくなっても在り続けるものなのだ。

    人は、この世には雲のように姿を現した人なのだ。
    その因縁は、まさに無常で非情でさえある。
    その因縁が消えた時、人は人としての生涯を終える。
    では、存在しなくなったのであろうか。それは、否だと私は想う。
    生まれていないものが、死ぬはずはないのであるる
    「不生不滅」

    さて、被災された人たちにどんな癒しと慰めとができるのだろうか。
    私はそこで一つの劇の脚本を書いた。
    私たちが渾身の力で嘆き、悲しみ、怒り、慄き、気づき、立ち上がることが、
    ちょっとだけでも何かの役に立つのではないかと想ったからである。
    「祈り」
    役者さん一人一人にその役は、「祈り」をもって演じてもらいたい。
    例え、無常慟哭であろうとも、
    死んだ人たちがきっときっと私たちの背中を支えてくれていることを信じて、
    この劇を演じ切ってもらいたいと祈っている。

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