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親父たちよ

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  • from: クマさんさん

    2012年06月12日 09時24分34秒

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    5日 人生明日は誰にも分からない

    一週間は、怒涛のように過ぎ去って行った。
    こんなにも一日とは長くも、短いもなのか。
    記録せねばと思いながらも、その時間が一日にないのだった。

    ディサービスへ父を出すことがひと苦労だった。
    8時頃から「行かね」と、梃子でも動かなくなってしまう。
    「何で俺をあんげとこにやるんだ」と、自分で休みを決めてしまう。
    「勘弁してよ」と、私は拝み倒してでも行ってもらおうと努力する。
    着替えもしない。髪もとかさない。前夜のまんま炬燵の前で胡坐をかいている。
    今では、何だか懐かしい光景だった。
    父を車に乗せるまでが、それはそれは大変なストレスだった。
    しかし、心穏やかに、父には接しなければならなかった。

    若い介助の女性二人が来ることもあった。
    私の方が車に乗って行きたいくらいだった。
    父は、自分の事ばかりだった。
    どうしてこんなに我儘なのかと、腹が立って仕方ないこともあった。
    立ち上がることも、歩くことも、しゃがんで靴を履くことも危ない様子だった。
    「何だかおかしいなぁ。」
    それは、父の病気の前兆でもあった。

    土日は、とにかく母と妻との病院に行くことにした。
    父が家に居ないことが、何よりもの心の解放感だった。
    父を独りで家に置いていたら、何が起こるか分からないからだ。
    「俺は、じいちゃんの酒の番の為に休んだわけじやないんだよ。」
    いくら言っても、じいちゃんには分かってもらえなかった。
    とにかく父と話していると、ほとほと疲れて、体力を消耗するのだ。
    言ってもやらない。
    言っても聞かない。
    自分の好きに行動する。
    時々、イライラすると大声で怒鳴り、相手に罵声を浴びさせる。
    母が倒れた訳もよくわかった。

    5日(火)の朝、父が出かける支度を手伝おうと叔母が来てくれた。
    三日間着替えていなかった。
    私と叔母とが父を説得して、やっとのことで着替えを承諾させた。
    しかし、その時やっと私は気づいたのだ。
    父は、左手だけでなく右手も思うように動かせず、
    自分で着替えることができなかったのだ。
    服を脱ぐときボタンをはずせなかった。
    袖から腕を抜くことができなかった。
    全部叔母にやってもらっている姿を見て、すまなかったなぁと思った。

    父と話していると、ろれつが回らないようで、
    ゆっくりと考えながら父は話すのだが、聴きとれない言葉が多くなっていた。
    そのことも、こうして父と毎朝向かい合うことで初めて気づいたことだった。
    いつからこんなに言葉が不明瞭になっていたのか。
    だから、自分の言いたいことが言えずにイライラとして、
    私や母に当たっていたのだと分かった。
    何だかそんなことすら気づいてやれなかった私が、とてもとても情けなかった。

    そうか。そうだよなぁ。
    父が大酒を飲んでしまったのも。
    私たちに悪態をつき、大声で怒鳴り、暴言を吐くのも。
    着替えもせず、風呂にも入らず、髪はぼさぼさで髭を剃らないのも。
    やっぱり父には、父なりの訳があったのだ。
    なのに私はそれに気づかず、困った親父だと嘆き、強い口調で言い返していた。

    すまなかったなぁ。ごめんなぁ。お父ちゃん。

    私は、独り抱えて、精神的にも体力的にも限界を越えるぎりぎりのところだった。
    そんな時は、堪え症が無くなり、イライラとして父や妹を思わず怒鳴ってしまった。
    耐えられなかった。本当に。
    でも、何とかしていかねばならないことだらけだった。

    みんなは、私だけが頼りだった。
    あんなにも居ても居なくてもいい親父だったのに、
    突然、どうしても居なくてはならない親父に変身させられた。

    人生、明日は分からない。
    それが、真実だ。

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    さけ 秋桜

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