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  • from: クマさんさん

    2012年08月10日 11時40分41秒

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    「グスコーブドリの伝記」について パート1

    昨日、アニメ映画「グスコープドリの伝記」を観て来た。
    宮沢賢治の原作だ。

    ブドリという森に住んでいた少年がたどった人生を描いていた。
    干ばつと冷害とによって、森の中で平和に暮らしていた樵の父と母と妹は、
    飢えと寒さとで死を選ばざるを得なかった。
    少ない食糧をブドリたちに食べさせるために父は、森に消えた。
    そして、母も雪の森に父を探しに行くと行って消えて行った。
    幼い妹は、お腹を減らしたまま、死神によってさらわれていってしまう。
    あれだけ温かで、楽しかった家族団欒が、消えてなくなり、
    気がつけばその森の家には、ブドリ独りが取り残された。

    自然の非情さ無情さは、避けられないことなのだ。
    例え嘆いたとて、悲しんだとて、その非情さには変わりなく、
    寒さの夏が何年も続いたり、日照りの夏が何年も続いたりする。
    作物は育たず、森の食べ物も消えてしまった。
    飢えることの切なさからは、逃げる手立てはなく、
    ただただひもじさに耐えるだけだった。

    賢治はそうした花巻の農民たちをじっと見ていた。
    暖かくすることも、雨を降らすことも人には出来ないからだ。
    だから、寒さの夏には、おろおろ歩き、日照りの時は、涙を流し、
    そんな自分を悲しく、無力な存在だと想ったことだろう。

    ブドリは、この家を捨てて旅に出ることにした。
    そして、独りの農家の男と出会った。
    彼は作物の育ちを良くするために、肥料を改良したり、
    作物の病気を予防するために、石油を田んぼに流したりしていた。
    失敗ばかりの山師だったが、挑戦することや改良することは忘れてはいなかった。
    作物を豊かに実らせるための工夫はあるのだ。
    ブドリは、この家の死んだ息子が読んでいた一冊の本と出会った。

    彼は、突然学問に目覚めた。
    知識を豊かにし、自分の知らない新しい世界を想像の中で旅することに、
    夢中になってしまったのだ。
    そして、どうしてもこの本を書いた学者さんに会いたくなった。
    その時、この村を大干ばつが何年も襲い、
    この農夫はブドリを雇うことができなくなったので、
    悲しいがブドリは、この家を出て、大都会に出てみることにした。
    大学に行って、あの本を書いた学者さんに会うために。

    そう言えば、賢治は、法華経の本当の信者になりたくて東京に出て来て暮らしていたなぁ。
    彼は、その貧しい暮らしの中で、一心不乱に童話を書き続け、
    身体を壊して行ったのだ。

    大学の講堂では、先生が難解な学問の話をしていた。
    学生たちにノートを書かせ、一人ずつ持って来させた。
    ブドリも書いて、学者に見てもらった。
    ブドリは、自然とこの学者の言わんとすることが何かを体験を通して分かっていた。
    学者は、ブドリのノートに驚き、
    ブドリに言葉をかけ、ブドリに火山観察所の仕事を紹介してくれた。

    ブドリは、火山観測所の職員として採用された。
    「私にとって、本当の仕事って何だろう。」
    それが、ブドリの自分の人生に対する問いだった。
    ブドリは、死んだ父と母と妹の魂に包まれて生きているはすだった。
    飢えと寒さとで死んでしまった父と母と妹。
    その不在は、ブドリの魂の寂しさであり、痛みであったと思う。

    寂しさとは、居ないから寂しいのではなく、
    ここに居るのに、その人と手を繋げないから、その人と言葉を交わせないから、寂しいのだ。
    その人が傍に居てくれるから、寂しさに耐えかねてしまうのである。
    死者との魂の交信は、確かに続いているのだ。
    「本当の仕事」は、その死者からの呼びかけや、祈りや、願いの中に存在するのだ。
    ブドリは、その「本当の仕事」を心から、深く、深く、求めていた。

    さてさて、ブドリは、魂が呼びかけて来る「本当の仕事」と出会えるのだろうか。

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