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  • from: クマさんさん

    2012年08月22日 10時23分11秒

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    役者としての輝きを

    大きな仕事を終えると、途端に虚しさが私を襲う。
    達成感と言うよりか、終わってしまったことへの寂しさか。
    私は、ある発表会のためのミニ演劇の演出をした。

    その劇は、6名の子供役と1名の教師役で構成されている。
    3つの話題のショートコントだった。
    その役に決まった人たちは、全く劇が初めての人たちばかりだった。
    第1回目の顔合わせでは、とてもとても緊張していた。
    初対面の人たちで、このコントを演ずる。
    それは、お互いの心が開かれる段階までいかないと、無理だと感じた。

    まず、初めの稽古では、台詞を言うだけだった。
    自分の番が来たら言う。その台詞を言ったら、それで終わり。
    そこで、まずこの学級における自分という子について想像してもらった。
    そのコントの主人公に対する自分とはどんなかかわりをもった子なのかだ。
    すると、言葉をかけたり、リアクションをしたりと、かかわりが生まれる。


    次の稽古では、聴くということをお願いした。
    まず相手の台詞を聴こう。聴いてから反応しようということだった。
    すると不思議なのだが、聴こうという気持ちから、かかわりが深まって行くのだった。
    困り感をもっている子を友達として支え、励ますように努力しようと呼びかけた。
    つまり、その子の存在を迷惑に感ぜず、とにかく全面的に受け入れようということだった。
    みんながそんな気持ちに切り替えて稽古をすると、
    これまた不思議なことに、場の雰囲気が明るく、温かくなっていった。

    一番それを感じたのは、困り感を演じた人だった。
    何だか、全部許され、支えられ、何をやっても安心できると感じたそうだ。
    不思議だが、この段階から、自主的な稽古が始まり、
    各自の演技に工夫が見られ、お互いの演技についてのデスカッションが生まれるのだった。
    劇は、どんどん進化して、発展して行った。

    やはり、人間関係の土台には、信頼関係が必要なのだと感じた。
    かかわりを作るとは、お互いに信頼できる関係を作ることなのだ。
    そういう関係づくりや場の雰囲気作りが出来た時、
    初めて人は心を開き、解放されるのだった。
    その許されている、認められている、愛されていると感じることで、
    人は、やっと自分らしい自分を表現する自由を感じられるのだと思った。

    私は、観る人であり、良いところを指摘する人であり、問う人であり、
    次のステップに進むための課題を言う人であった。
    私は、何も教えてはいない。
    みんなは、私の言葉を聴いて、考え、気づき、発見して、工夫を繰り返すだけである。
    言われたことをやるのではない。
    自分でそうだと気づき、考えたことを表現するのだ。
    私は、その変化を楽しみ、どんどん褒めて行けばそれていいのだった。

    演ずることを苦手と感じていた人たちが、演ずることを楽いと感ずるようになった。
    やらされていた人たちが、どんどん自分から工夫する人たちになった。
    ある日、中間発表会の後で、大勢の人の意見によって、劇の大幅な修正を迫られた。
    「どうしますか?」と私は問いかけた。
    「監督、私たちで考えてみます」と言った。
    「そうして下さい。演じている皆さんの方が気持ちをよくわかっていると思います。」
    稽古を重ねることで、こうした絆が生まれ、いつしかチームとしての一体感ができてきていたのだった。

    昨日、午前中は発表までの待ち時間にリハーサル室で稽古した。
    とにかく面白かった。
    どんどん変わって行く面白さとでも言うのだろうか。
    目の前で何か素晴らしものが創造されて行くわくわく感とでもいうのだろうか。
    一人一人の輝きが、回を重ねるごとにどんどん増して行くのだった。
    その面白さは、演じている人の方がもっともっと感じていたと思った。

    午前の発表は、とても素敵な劇に仕上がっていた。
    何よりも観ている人たちの心をほっとさせる愛がそこには在った。
    つまり、愛する者同士の姿を、私たちは観て、感じていたのだった。
    私は、もう言うことはなかった。
    心の奥でジーンと熱いものを感じながら。

    さて、午後は。
    長い待ち時間をどうするか、私はぽつんと楽屋に残っていた。
    「監督、来てください。」一人の役者さんが呼びに来た。
    リハーサル室には、役者さんたちだけでなく、その演技を見守っている10名余りのスタッフも居た。
    このメンバーでね意見交換をしながら、劇を創り上げていたのだそうだ。
    私は、驚き、嬉しくなった。

    この役者さんたちは、その観客の賞賛によって進化しているのだった。
    「みなさんは台詞を言っていると思っているかもしれませんが、
    私たちに伝わってくるのは、みなさんの想いです。」
    「それも、とても優しい気持ちにしてもらえる温かな想いが伝わってきます。」
    「ここには、本当にお互いを信頼し合い、支え合っている愛を感じます。」
    「素晴らしい学級ができましたね。」

    何だかこの劇のメーキングこそ、とても素敵なドラマではないだろうか?
    役者のみなさん、お疲れさまでした。

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