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親父たちよ

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  • from: クマドンさん

    2016/02/07 22:18:26

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    100年インタビューでした

    倉本 聡さんの「100年インタビュー」を土曜日に観た。
    私がまだ高校生だったころからの憧れの人で、
    彼の書いた脚本のドラマが大好きで、追っかけていたものだった。

    「前略おふくろ様」「あにき」もそうだっただろうか。
    登場人物の設定の面白さと、その人たちが語る台詞のおかしさに、
    いつも笑わせられて、涙が流れた。

    大河ドラマ「勝海舟」では、渡哲也さんの病気による降板から、
    NHKとどうもいろいろとあったらしく、彼は途中で脚本を降りてしまったそうだ。

    そして、東京を追われた者として、北海道の札幌に流れ着いた。
    人生に負けた者は北に行くと、飲み仲間に言われたそうだ。
    「敗北者」
    確かに北だよねと、彼は笑って話していた。

    さて、そこで札幌のホステスさんや、風俗の女性たちに優しくされ、
    失意だった彼が、そこで何かどん底から蘇る力を得ることができたのだった。
    順風満帆。
    思うようにして生きて来た彼は、もしもそのままだったら、
    きっと脚本家としてもただの脚本家にしかなれなかっただろうと語っていた。
    失わなければ、決して分からない底がある。
    絶頂期から追い落とされた彼にとって、底からの旅だちは、
    まったくそれまでの人生とは違った再生となっていた。

    富良野に土地を求めて、
    役者や脚本家を育てるための「富良野塾」を自費で開いた。
    役者は、いつも幾つになっても勉強なんだと、
    ベテランであればあるほど、アクターズスタジオでの学びを続けろとのことだった。
    厳しいなぁと感じた。彼の眼差しは、妥協を絶対に許さないものだった。
    「お前はどう生きているのか」という、その鋭い問いだ。
    役者や脚本家を目指す若者たちは、昼間は農家の手伝いをして稼ぎ、
    夜は、徹底的に舞台の稽古によって追い詰められた。

    失うことは、生き直すことだ。
    私は、彼の人に対する深い深い優しさがとても好きだ。
    優しいから、厳しいのかもしれない。
    リアルな物語を創ろうとする時、自分自身に一番厳しいのも彼だった。
    時代の矛盾と課題の中にこそ、物語とすべき言葉は存在している。
    確かに私が脚本家を目指したのは、倉本さんが居てくださったからだった。

    「北の国から」
    それはバブルに対するアンチテーゼであると共に、
    この21世紀の私たちにとっての本当の幸せとは何かを、
    真心を込めて伝えるための物語であった。
    物語における深い深い人としての想いは、原作者や脚本家がまず描いている。
    私は、人として伝えるべきリアルのない物語は、
    存在する意味もないだろうと思っている。
    何の為に命懸けで物語を創ろうとしているのか。
    それは、伝えたい、語り継ぎたい意味があるからこそ、情熱を懸けられるのだ。
    物語とは、そんな深さからしか生まれてはこないものだと、
    私は学んできたつもりだ。

    さて、倉本さんは、「屋根」という劇を現在公開している。
    それは、富良野の原野に廃屋ととして取り残された家々の物語でもあった。
    そこに生き、そこで耐え、そこで泣いた人たちの声を、
    声として今に生きる私たちに伝えたい。
    そこにはやっぱり、人が生きることの幸せとは何かが、語られている。

    そうだよなぁ。
    仏様だって、説法で語っていたことは、
    この苦しみの人生において、幸せに生きるためにはどうすればよいかだった。
    倉本さんの物語には、底辺や無名に生きながらも、
    人が人らしく生きる輝きを持ちながら、
    一隅を照らす人を温かな眼差しで描いている。

    今の人たちに、どんな言葉を残しますか。
    そんなインタビューアの問いに対して、彼は一言、
    「ごめんなさい、ですね」と答えた。
    その意味をもっともっと噛みしめたいと私は想った。
    だから、やっぱり生きている内に何かを伝え、何かを語り継いで行きたい。

    創作の熱意とは、そのやむにやまれぬところから噴火するものなんだ。
    今は死火山のように見えても、本当は活火山なのだと、
    桜島のように時には噴火したいものだと、日々思っている。

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