大寒波襲来。
まさに冬将軍が暴れまわっている。
昨日は日中からしんしんと雪が降り、
その雪が細く途切れなく降っている様子を見て、覚悟を決めた。
どうしても通らねばならない、この試練だった。
まず、ここをどう生きるか。
雪を楽しむことはできないが、
少なくとも不平不満を言わずに、雪を受け入れることだ。

まず動く。
私が、変わったことがこれだった。
以前は、何だかやりたくない仕事を後回しにして、ほったらかした。
気付いたら次々と締め切りがやって来て、右往左往だった。
おかげでどれだけ頭を下げて謝ったことか。
「ああ、これ〇月〇日までにやればいいな」と、
その書類を書類の山の中にしまってしまう。

時間はあるのに、その書類を処理する時間はなかった。
その内に、忘れてしまう。
「あっ、そうだ」と、気付いた時には後の祭り。
そんな苦い後悔をどれだけしても、治らなかった。

ところが、今は、違う。
提出せよと書類が届いたら、その日の内にぱっぱと処理する。
提出一カ月前に先方に届けたりする。
何も考えない。
まず、パソコンを開く。
様式を出す。
そこに数値や、内容を記入する。
後は、送信をカチャとクリックする。
送信の報告を上司にする。

何も考えない。
嫌だなぁとか、何でこんなものをとか、余計なことは考えない。
「さっさ」とやる。ただ、それだけ。
時間は隙間をぬって作っていく。
昨日はある大事な物を発送するために、３０分早めの出勤だった。
それで、梱包をすませて、いつでも郵便局に行けるように準備した。
これも、数々の失敗から私が学んだことだった。

まず、身体を動かし、その場に立たせる。その場に向かわせる。
次に、ぐずぐずと考えないし、想わない。
パソコンを起動する。様式を開く。ただ書く。登録する。発信する。
そうした一連の作業を滞らせず、そのままに進める。

余計なことを考えないとは、よく見せようとは想わないことだ。
事務的に淡々と処理できることは、ただやればいい。
後から考えよう。もっとここを工夫しようとか、想わない。
今できるベタァーでよしとする。
そうやって生きてみたら、これってとてもとても楽な生き方だった。

いつの間にか仕事が早い人と言われるようになった。
しかし、ここに到達するまで数多の失敗と陳謝を経る事３０年だ。
５９歳になってから、やっとこれに気付いたのだから、
何とも言いようのない人であるかもしれない。

帰ったら、玄関へのアプローチに雪が積もっていた。
スノーダンプをガレージの棚から降ろして、
それでせっせと雪のけした。
まず、何も想わない。自分を無にする。身体だけは効率よく動かす。
すると、雪のけが終わり、道ができると、それだけですっきりとする。

流しに洗っていない食器の山があったら、
何も想わず背広を脱いで、腕まくりをする。
洗い桶にお湯を入れて、洗剤を注入する。
後は、せっせと洗って流せば、ほんの１０分くらいの仕事である。
それを、「これは、俺の仕事ではない」と言っていると、
腹も立つし、誰かがやっぱりやらねばならない。

頭より、身体を先にする。
すると、「さっさ」と何でも片付くことがよく分かった。
しかし、そんな簡単なことを会得するまで、
どうしてこんなに５９年間もかかってしまったのか、
まさに、私の不徳の致すところであったと想う。

「さっさ」生きる。「さっさ」と終わる。
「さっさ」を禅の言葉では、「即今」と言うそうだ。