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  • from: クマドンさん

    2017年05月24日 06時00分30秒

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    物語が宿る

    高森の大欅のことに興味があって調べている。
    阿賀野川沿いの右岸である岡方という地区にある大欅だ。
    この樹は樹齢1200年とも言われている。
    幹の周りが10メートルもある。
    老木のために今は樹医さんによる養生中だ。
    この樹と初めて出会った時、
    やっぱり神様だなぁと感じた。

    深いものはその存在そのものから語りかけて来る。
    黙ったまま天に朽ちかけた大枝を伸ばし、
    堂々とそこに佇む風情は、
    何とも言い難い尊さを感じさせられた。

    新潟県で二番目に大きな欅だそうだ。
    どうして人が1200年間も生きていられようか。
    この欅は数多の運命に翻弄され、
    栄枯盛衰を経て来た人々のどれだけの物語を見つめて来たことだろう。
    どれだけ滂沱の涙を流し、
    この高森の丘から、幾多の人々の生死を見守り続けたことだろう。

    森閑としたその根元に立ちこの大木を見上げると、
    何だか昔ここに暮らしていたという三千人余りの僧侶の読経の声や、
    戦乱の音や、疫病に苦しんだ人々のうめきが聴こえるような気がする。

    ここの薬師如来は、持統天皇の頃、唐から貿易のために渡って来た船が、
    日本海上で大嵐に逢い、その時、船人が必死に祈った仏様だった。
    その祈りは聞き届けられ、嵐が止み、その船が漂着した場所がここだった。

    丘の上には大欅が茂り、丘全体が瑠璃色に輝いていたそうだ。
    すると、船人の夢に三夜続けて薬師如来か現れた。
    「この土地との宿縁を感ずるから、この土地の人々を済度するために、
     この丘のお堂を建てて、私を安置しなさい」とのことだった。
    すぐさま船人は丘の上にお堂を建て、この薬師如来を安置した。
    それが690年頃のことなのだそうだ。

    それから、この大欅と薬師如来とがどんな物語を見てきたか、
    その語りを聴きたいと今は想っている。
    この薬師堂は昭和42年?2月に全焼してしまった。
    その時、この物語を記した貴重な資料や記録も全て消失したしまったそうだ。
    そのことを悔やみ、とにかくこの貴重な歴史と物語とを後世に伝えるために、
    1人の老人が奮起して、散逸した資料を探し求め、
    少しでも知っている人が居たらその人を訪ねて聴き集めた情報を、
    一冊の本として編纂した。
    それが「高森の丘」という冊子だった。
    彼はこの冊子を自費出版してから、数年前にこの世を去った。

    その貴重な本が、私が手に入れることができたことは、
    きっと何かの必然なのだと私は信じている。
    そて、今、その資料を現代訳にし、物語のようにして書き直している。
    「高森の丘新聞」その第一号が昨日完成した。

    この物語を受け継ぎ、語り部として語り継いで行くことの意味を、
    私はいつしか感ずるようになっていた。
    この短くも儚い私の人生において、
    語るべき物語を宿されたのなら、
    やっぱりそれは語らねばならないのではないかと、
    そんな気持ちで、また大欅に逢いに行こうと想っている。

    人は、きっとその人の人生で、
    その人だけが語れる物語を託され、宿され、生きているのではないだろうか。

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