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from: クマドンさん
2020/01/14 05:39:10
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独りの勧め
連休の三日間、何ともおとなしい生活だった。
5年前だったら、きっと家には居なかったな。
映画に行ったり、コンサートに行ったり、昼酒をのんだり、
一日遊んで、夕方我が家に帰って来るパターンかな。
しかし、年末の入院のことがあった。
やっぱり今の私にとって、過密スケジュールはしんどいと感じた。
やらねばならないことが多いと、
そのことがストレスとなって来る。
疲れている時は尚更だった。
仕事を終えてくたくたの中で、北区文化会館に向かった。
合唱の練習は午後7時半からだった。
終了して帰宅するのが午後10時だ。
こんな生活が毎週続いた。
その間に、東区ボーイズの合唱練習があり、
コンサートがあり、飲み会があり、
倒れる前二週間は、夕食を我が家で食べるのが2~3日だった。
本当に何をやっていんだの生活だったな。
そんなことをぼーっと病院の個室で振り返っていた。
「どうしてこうなったのか」ではなく、
「こうなったことには、意味がある」という気持ちで、穏やかにしていた。
そして、「ああ、こんな時間の流れを失っていたなぁ」の反省だった。
点滴の針を左手の手首に差している。
動くのは、個室のトイレに行くだけだった。
部屋からも出ることは無く、一日、ベッドの上で過ごすばかりだ。
私は、一日のベッドの上での生活のスケジュールを決めた。
食事は無い。
早朝、4時に起きて、ラジオを聴いた。
そして、5時からストレッチをした。
ドキュメンタリーを観た。「赤ひげ」も観た。本を読んだ。音楽を聴いた。
何よりよかったことは、ぼーっと天井を見ながら、
とりとめのないことを考える時間があったことだった。
そして、分かった。
別に外に出かけて刺激を求めることは無いのだと。
ここに私がやりたいことは、ちゃんと整っているということに。
あれも、これもと、外に向かってアンテナをはっていた。
だから、あれも、これもやりたいと、スケジュールに入れ込んだ。
しかし、そこで私が求めたものは、
そこに行かなくても手に入れられるものでもあるのではないかの気付きだった。
たったベッドの広さだけの自分の世界だ。
しかし、その世界が、文字通り、私の世界として存在し、
その世界で私は、心と魂との充実を感じて暮らした。
個室だったので、小千谷のSさんと、今、ここの気付きを語り合った。
窓の外には、飯豊連峰と二王子岳が白銀に輝いている。
天気が良ければ、真っ青な空が見れる。
「ああ、山と向き合っていなかったな」
「空を、見ていなかったな」の新たな気付きだった。
何も出来ない人となり、そこで据え置かれたまま生かされていると、
人が語る言葉が、びんびんと魂に響き、了解された。
忙しい最中、疾走している間、私には、この静けさが無かった。
独りで居られる時間が、私にはとてもとても大事だったんだ。
そのことをずっと忘れて生きていた。
だから、半ば強制的に、独りになった。独りにさせられた。
「自分自身と向き合いなさい」
「いかに生きるか考えなさい」
「善く生きるための言葉と出会いなさい」
それが、個室に置かれた、深い深い意味だった。
外に刺激を求めることもできず、誰かに依存することもできず、
据え置かれたまま、暫くは、ここに置かれたまんまで生きねばならない。
しかし、その独りである時、私は、じっくりと醸されて、
少しずつ成熟するようだ。
だから、あの時の独りを、私は本当に感謝している。
人は、独りにならないと、忘れていた自分に出会えないからだ。
本当の自分は、生きてはいるが、
忙しさや、日々の仕事や、周りの人たちや、家族とのかかわりの中で、
その存在すら忘れていることが多いのだ。
独りとは、そんな本当の自分と向き合える貴重な時間だ。
しかし、日常生活においては、意識しない限り、
なかなか手に入らない独りでもある。
だから、もし、今、独りの時間を持てる人が居たら、
その独りを感謝することだ。
その独りは、きっとその人の心と魂とを醸し出し、成熟に導いて行く。
酒や味噌で言えば、寝かせられている間に、
酵母菌の働きで発酵が進み、深い深い味わいが造られるからだ。
それは、人も同じなんだ。
種は、土の中で独りで眠る。
そして、土の温度が上がり、その時が来たら、根を出す。目を出す。
しかし、その時のことは、種自身は知らない。あなた任せだ。
そう考えると、独りでないものは、無いのではないだろうか。
そして、やっぱり、変わるためには、独りの時間が必要だった。
弱い心で、すぐに外に刺激を求めたり、ネットをしたり、人に会ったり、
独りから逃げている内には、その成熟はきっと無いことと思う。
成熟は、独りだけに与えられる天からの恵みだ。
その独りを、私は、この連休の三日間に少しでも作るようにした。
本を読み、映画やドラマを観て、言葉や人生と向き合っていた。
独りで居ると、細胞が活性化して、新たに生まれる微かな音が聴こえる気もする。
それは、日々新たに生まれ変わり、死につつ、再生される、私の音だった。
私はねそういう変化するものとして、生かされている。
独りは、いい。
寂しく、孤独を感ずることはあっても、
やっぱり、独りがいいて、どこかで思っている私だった。-
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