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from: クマドンさん
2020/01/19 08:12:03
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子熊りデビュー
ジャズストリートだった。
子熊のデビューだ。
私は、妻と妻の母と姉が先に席を確保してくれた店に向かった。
開始10分前。
その小路にはたどり着いたが、店がなかった。
焦った、焦った。
私のやることは、こんなものだと慰めた。
丁度駐車場に居た叔父さん二人に声をかけた。
「ああ、あの店にさっとドラムを持って上がって行った人いたよ」
何だ、このビルの2階だったのか・・・。ほっとした。
12時から飲み続けている。それでも赤ワインをオーダーした。
彼は、まるで若かりし頃のビートルズのようなジャケットだった。
あのオレンジのギターは、いつ購入したギターなんだ。
タッグを組んでいるHさんは、実は、村上の人だった。
サクックスの腕前もなかなかの男だ。30歳は超えているとの話。
あるセッションで一緒になった時、
彼から子熊に声がかかった。
「一緒に組みませんか?」その一言で、この「ピノコでゅお」は誕生した。
驚くことに、彼の父親を私は、村上に住んでいた頃知っている。
今はリタイアして、塩引きづくりに魂を込めているそうだ。
ユニークな先輩だった。
彼も私のことを覚えていてくれて、笑っていたそうだ。
演奏が始まった。
「えっ」と、私は、絶句だった。
「本物だ」との驚きと、深く深くの歌心だ。
「いつの間に・・・こんなに腕を上げたのか・・・」
ジャズストの追っかけをもう10年以上やっている。
神様が私に与えてくださったことは、
楽器を演奏する才能ではなく、その音楽を聴き分ける耳だった。
これは親ばかで言っているのではなく、
本当にすーっと聴く人の心に沁みこんで来るギターの音になっていた。
出しゃばらず、強すぎず、さらっと、自分流に音を奏でる。
即興もとても心地よいテンポで、確実に音を刻む。
次々と奏でられる音は、その音がその音として、居心地がよい音だ。
いつしか私は、演奏に聴き入り、吸い込まれ、音そのものと一体になった。
子熊は、子熊なりにいろいろと在り過ぎた。
本当に挫折し、苦しみ、辛い日々もあった。
それは、私のせいでもあった。
だから、父親としては、彼には申し訳なく思っている。
しかし、息子がそうして苦しんでいる様子を黙って見てはいられなかった。
あれはどうか、これをしてみたら、と、余計なおせっかいをついついしてきた。
しかし、それは強引ではなく、彼の選択肢だった。
父親として、息子のその日を、ずっとずっと待っていた。
彼は、そんな日々の中で、ギターに出会った。
そして、そのギターの音に救われ、彼の才能はこれで開花した。
うまいなぁと、いつも思う。
しかし、その音は、かっては彼の自室で鳴るだけ音だった。
そして、彼が数年前からジャスギターに転向し、
夢中になって練習を重ね、セッションに参加してその腕を磨いた。
その中で、相棒のHさんに出会い、二人でタッグを組んだ。
お互いに音は、心であるから、何かを感じ合っての演奏だった。
子熊が、微笑み、恥ずかしそうに演奏している。
その姿を見て、私はいつしか涙が溢れ、溢れ、そのままにした。
「その日は必ずやって来る」ということだった。
よくここまで至ったものだと、私は子熊を尊敬している。
確かに彼のこれからの人生の苦難の旅は、まだまだ続く。
しかし、この演奏は、彼の生きるための力ときっとなるとの確信を得た。
彼は、あれをやった男なんだ。
その想いは、きっと彼を内から逞しく、強くしてくれるはずだ。
素晴らしい演奏でした。
感動しました。
深く深くのリスペクトでした。
ありがとう。-
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