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from: クマドンさん
2020/04/16 05:53:58
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われわれは神と連帯できる
「神なきにして、聖者となる」
ペストの登場人物の1人旅人言葉だった。
医師のリュウは、彼と深く深くの友情を感じた。
それは、彼が、自分だからだ。
そうした人との出会いは、幸せなんだと感じた。
神に対する信仰を持たない。
いや、人間としての責任を果たすために、神に委ねずに生きる。
どんなに不条理な現実があろうとも、
そこに生きることへの責任を果たすために、
自らに誠実になる。
確かに、明確な一線は引けない。
この線の向こう側とこっち側。
どちらが正義でどちらが悪か。
それを決めることは、人間として誰にもできることではないはず。
自分もそうだ。
時には正義・善になり、時には悪となる。
しかし、今は正義・善であったとしても、
数年後には悪となるかもしれない。
曖昧である。明確では在り得ない。だから、ぐずぐずする。苛立ってもいる。
しかし、明確に確信している人間は、ジッャジする。判定を下す。
パリをナチに支配されている間、
カミュはレジスタンスの独りとして抗った。反抗した。闘った。
それは、身体的に何かが腑に落ちず、許せなかったからだ。
理屈でもなく、理論でもなく、
目の前で多くの市民が銃殺されたり、殺されたり、傷つけられたり、蹂躙されたり。
そんな光景を見ることに忍びなく、耐えられなかったからだ。
その怒りの中で、友との連帯だった。
人は、独りでは生きてはいけない。
だから、なにかを深くで感じたら、
その深くで同じなにかを感じている人と連帯する。
その人と、その人とは、友となる。
友がまだいない人とは、
まだ連帯できる人と出会っていないだけの人だ。
ペストが去って行った。
また、街のネズミたちが騒ぎ出した。
街の門は解放され、街の人たちは解放され、
解放を待ち望んでいた街の外の人たちは、歓喜してオランを訪れた。
また、あのペストで閉塞され、
いつ果てるとも知らない闘いに追い込まれた人たちに、
かっての平安な生活が戻って来た。
ナチは連合軍に敗北し、何十万という殺人を行い、略奪と恥辱を与え、
風のように去って行った。これが、ペストの正体だった。
その後、ナチに協力した市民を、ナチと闘った市民が裁判にかけた。
そして、次々と死刑を宣告し、処刑した。
カミュは、そこに組できない自分を感じた。
ナチの殺人と、裁判による殺人と、何か違いはあるのだろうか・・・。
アルジェリアの独立戦争に対してもそうだった。
彼は、アルジェリアのフランスからの独立は支持した。
しかし、過激派たちの無差別爆弾テロに、
心が絶えられないほどの苦しみを感じた。
そうした彼の態度は、アルジェリアからもフランスからも批判された。
しかし、彼は、沈黙を守った。
「目の前で、母親が殺されることに耐えられない」からだった。
不条理は、この世の常だ。
無常であることが、自然のあるがままの姿でもある。
戦争で多くの殺人が行われ、街が壊滅的な破壊を受け、
人の心までも死なせてしまう。
疫病は、突然姿を現す。その予兆はあったとしても、
微かだったので人々は気付かない。
感染者の数が突然倍増し、押さえきれなくなり、人がどんどん死んでいく。
感染を恐れ、そのまま穴を掘っての埋葬だ。
まさか、自分がこんな無残な死に方をするとは、死者本人も気付いていない。
さて、その中で、いかに人は生きるべきなのかだった。
解放されたその日に、旅人はペストを発症する。
医師のリュウはこの友を自宅に運び、必死の処置をする。
しかし、病状は一気に急変し、彼は激烈な発作と吐血をして息を引き取る。
「ありがとう」と、最期の言葉をリュウに伝えた。
この不条理に、神は在るのか。
その問いは、深い問いだ。
何故なら、この不条理を神は許しているのかと言う問いに繋がるからだ。
リュウは、だからこそ、人は人としてできることをやり遂げねばならないと思う。
その人として感ずることは、自分の命すら捨てることとなるかも知れない。
でも、見過ごしにはできない。ほっておけない。逃げることは許せない。
だから、レジスタンスとなって闘う。
だから、医師として人間としてペストと闘う。
「私は反抗に在る時、われわれは連帯できる」
私は、そうやって生きた彼が、聖なる人であったのではないか。
人は、その不条理の中で孤立しながらも、
何かに抗って生き抜こうと決意する時、
その人をそうさせているものこそ、神そのものではないかと、思う。
「私が反抗に在る時、われわれは神と連帯する」のではないだろうか。-
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