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  • from: クマドンさん

    2020年06月23日 06時46分10秒

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    ここにある一つに気付くために

    禅僧の生活に学んでいる。
    それは、本当に小我を捨て去る生活だった。

    朝は3時半に起床する。
    それから、直ぐに夜具を片付け、走って坐禅に向かう。
    そして、沈黙の中での坐禅が続く。
    食事の時も、沈黙は守られる。
    全ての所作には作法が決められている。
    その決められた通りに、有無を言わずに従う。

    読経をする。
    頭でとやかく考えず、ただ腹からの大声で読経する。
    師を中心にして向かい合った修行僧たちが、
    声を一つに和する。響き合う。
    その響きの中に没入する。
    恍惚の中で、我を忘れる。

    托鉢をする。
    走って回る。
    各家の門に立ち、玄関に立ち、大きな声で読経する。
    いくばくかの米をいただく。野菜をいただく。
    感謝して、また次の家に向かう。
    また、そこで読経する。

    作務をする。
    落ち葉を竹ぼうきで払う、払う、払う。
    だからどうだとも思わない。
    いつまで続くのだとも思わない。
    ただ、只管道路の上に散った山のような落ち葉を払う、払う。

    9時に就寝の時刻となる。
    みな単の上に夜具を敷く。
    やっと眠れる。やっと休める。
    しかし、直ぐにみんなは起きだし、
    お寺の軒下、廊下の上に並び坐禅する。
    夜座と言う。
    寺の裏山でもやっていたが、
    山の獣たちが徘徊するので危険なので今は止めている。

    夜座は、先輩の修行僧が終わったら、
    その次の先輩の修行僧が終わり。
    その次の、またその次のと、ずっと全部の先輩が終わってから、
    やっと一番の新参の修行僧は単に戻って眠ることができる。
    その時刻は、既に午前2時を過ぎている。
    凄いことだと、私は思う。

    この話をしてくれた、師家である山田氏は、
    そんな新参時代に、死にそうになったと話す。
    身体も心もどうにもならず、逃げだそうと考えた。
    ここで意識不明になって倒れれば、
    きっと救急車で病院に担ぎ込まれる。
    そうしたら、しめたものだ。
    医師に診断書を書いてもらい、故郷に還れるだろう。

    そう思った氏は、人一倍に徹底的に修業したそうだ。
    こんなことをすればもう一週間で意識不明となるだろう。
    えい、これでもか。これでもか。
    身体と心を究極の極限まで追い込んだ。
    そして、ある夜座の後だった。

    時は、既に午前2時だ。
    ここで眠った所で、3時半には起こされる。
    つまり、眠れる時間は1時間半だけ。
    その時、
    「ああ、1時間半も眠れるな」と、ふと思ったそうだ。
    それまでは、「たった1時間半しか眠れにない」と思っていた氏だったのに、
    その時、「1時間半も」と、「も」がついた。
    そこで、氏の何かが回転した。回心した。感謝だったと言っていた。

    さてさて、この禅僧の生活全てに渡って、
    我が侭はどこにも無かった。
    本当に凄いなぁとの感動は、
    自分の思いや感情を無にしないと、
    この厳しい勤めは勤まらないということだ。
    まぁ、私のようなぼんくらには絶対に無理、無理だと
    思った。

    だから入門に当たっては、本当にその覚悟が問われる。
    入門を許されるまで10日間、試される。
    その者の覚悟を観る。
    本当にこの者が世の中の全ての欲としがらみを捨てて、
    ここに本心で入門したのか。
    この者が、ここでの厳しい修業に耐えられる者なのか、
    それを先輩の修行僧はしっかりと見極める。

    入門が許されたら、
    その日から、私は居ない。私を捨てる。
    音に対して、規則に対して、身体を動かす。ただ従う。
    有無を言わぬとは、このことだ。
    カンと版木の音がする。
    さっと、やるべきことをするために、走って向かう。
    そこに至ったら、すぐにそれをやる。
    やる時は、黙々とただ只管そのことだけに向かう。

    また、版木が鳴らされる。
    「ああ、またか」「嫌だなぁ」「やりたくないな」「休ませてくれ」
    そんなことを人は思いやすいから、
    そんな妄想が現われぬうちに、それを打ち消すように、
    さっと、風のように身体を動かす。
    その位置に就く。
    そしたら、そこで果たすべきことを、果たす。ただそれだけ。

    氏は言った。
    禅寺での厳しい修業は、身体がそれを覚えるまでやるためだと。
    身体が覚える。
    身体を動かす。
    身体を練って、鍛え上げる。
    ここには、小我の妄想は全く入る余地はない。
    入りそうになったら、顕れそうになったら、身体を動かす。

    只管打座が道元の教えだ。
    心身脱落・脱落心身。
    そのために、日々の生活における日々の修業が存在する。

    私は、坐禅をするわけでない。
    こうした日々の厳しい修業をすることもない。
    ただ、身体を動かす。身体を使う。身体を先にする。
    有無を言わない。
    ルーテーンがあるなら、それにただ従う。
    余計なことを考えて、迷わない、文句は言わない。
    「はい」と従う、それを、やる。

    そのことを、私自身の日々の生活における修業なんだと考えている。
    日々是道場。
    その生き方は、実は、とても気持ちよい生き方だった。
    本当に何も考えずに生きられたら、気持ちいいのだ。
    あれや、これや、あのこと、このこと、
    人は自ら考え出して、悩みのどつぼにはまる。

    人から言われたら、「何で私が」「どうして今、これをやらねばならぬか」と、
    不満を言ったり、腹を立てたり、感情を乱したりだ。
    妻とはよくよくこんなことが多くある。
    その度には、反省、反省。
    まだまだ未熟で、修業が足りない。足りない。

    だから、気持ちよく日々を生活するために、
    頭を捨てる。俺が、俺がを捨てる。自分を忘れる。相手を先にする。
    そして、ルーテーンに従い、規則・規律に徹する。従う。
    指示・命令には、例え意に添わずとも、「はい」と笑顔で応える。
    そして、その仕事を黙々とこなす。

    今、私は、日々の仕事をこれでやっている。
    つまり、この仕事場は、ぼんくらな私を鍛える道場だった。

    もし、私が、ここで、このまま、stayhomeだけだったら、
    それでも、ここを道場とすることもできる。
    しかし、私ではなく、多くの人の我に囲まれ、
    その人たちとのかかわりの中で生きることは、
    なかなか一筋縄ではいかない、困難なことでもあるのだった。

    人の思いは、私の思いではない。
    人の思いを、私はコントロールすることはできない。
    そして、新参者の私は、全てその人たちの下で働く。
    そこに徹する。
    62歳と10カ月。
    全く何も分からない新人として、初心者として働く。

    実は、この立場が、私にとっては修業そのものだ。
    禅寺の修行僧たちのように、頭を捨てる。身体で動く。考える。
    そこに徹する。
    徹底的にそこに追い込む。
    ちっぽけなぼんくらな私に気付き、
    その私ではない、「わたし」で生きる。はたらく、仕事する。

    ここからしか、きっと私は、「わたし」に出会えない。
    私は、わたしと一つになるために、
    ちっぽけな私を、捨てるためにそこへ行く。

    仕事とは、道場・修業の場であったとの、新たな気付きと感動だった。
    そこでは、修業をさせてもらいながら、
    お金さえくださると言うのだ。
    5時間働いて、4,500円だった。
    1,000円と言うお金の価値や、在り難さもここで変わった。
    無駄にはできない。大事に使おう。

    禅僧の修業生活と出会った。
    師家の山田氏の語りを聴いた。
    私は、日々是道場と仕事している。
    そのことが、みんな別々なのに一つになった。

    その一つをみんなは求めている。
    その一つは、ここにある一つだ。
    なのに、どうしても見つからない。
    その一つをみつけるために、
    ここにある一つに気付くために、
    私は、今日も日々の修業の生活をするだけだなぁ。

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